第三者機関を強制設置 12球団の要求にコミッショナー“白旗”

[ 2013年6月15日 06:00 ]

会見前にメモをとる加藤コミッショナーの資料の右端の方には大きく「失態」、「猛省」の文字が見える

統一球問題

 12球団代表者会議では、第三者機関を設置し、経緯や事実関係などを調べることを全会一致で決めた。

 加藤コミッショナーは「必要ということで短時間のうちに認識が一致した」と説明したが、ある球団幹部は「NPB内部でも第三者機関の設置は提案されていたと聞いた」と明かした。ところが、12日の謝罪会見の前に加藤コミッショナーも参加した幹部会議の中で、その案を一度握りつぶしていた。今回、12球団側から要求されてようやくのんだ形である。

 第三者機関に依頼するのは「(1)今回の統一球の問題(2)情報開示の問題(3)NPBのガバナンス(統治)」。パ・リーグの村山良雄理事長(オリックス球団本部長)は「調査結果を見守りながら7月10日に予定しているオーナー会議で対応する」と明かした。明言こそ避けたが、第三者機関の報告次第では加藤コミッショナーの罷免決議が行われる可能性も示唆した。

 加藤コミッショナーは統一球変更を公表しなかったことに「大変な失態であったと猛省しております」と謝罪。その上で「職務に磨きをかけて機構を強くする」と辞任の意思がないことを強調した。ただ、今回問題となった下田邦夫事務局長が極秘に進めたとされるミズノ社に対する統一球の変更指示の裏には、加藤コミッショナーとのコミュニケーション不足が存在するのは明らか。「(変更を)知らなかった」では済まされない。

 球団代表の話を総合すると、第三者機関は利益を伴わない公正中立な人材の中から複数人で構成する。人数は検討中。人選は元東京地検特捜部長の熊崎勝彦氏ら、NPBの顧問弁護士と12球団を中心に進めるという。NPBの「闇」を洗い出す第三者機関。今回の問題を突き詰めれば、組織のトップとしての加藤コミッショナーの資質が問われるのは間違いない。12球団側は調査内容次第では臨時オーナー会議の招集も視野に入れている。

 ≪98年ダイエーのスパイ疑惑で設置≫プロ野球の第三者機関として、98年のダイエースパイ疑惑が有名。この時は、球団側の最終報告を不足と判断した川島広守コミッショナー(当時)が、諮問機関としてパ・リーグ特別調査委を設置。元検事総長の筧栄一氏を委員長に招へいして徹底追及が行われた。また07年の西武裏金問題では、球団自らが特別調査委を発足。慶大名誉教授の池井優氏、ジャーナリストの蔦信彦氏らを委員に招いた。04年の球界再編問題時には、新規参入企業のチェック機関としての第三者機関の設置が提案されたが、最終的には至らず。大相撲は野球賭博や八百長問題、柔道でも五輪代表暴力事件を発端に、第三者機関が設置されている。

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