山本昌 47歳9カ月最年長先発勝利 交流戦も5年ぶり白星、工藤抜いた

[ 2013年5月16日 06:00 ]

<中・日>2勝目を挙げ、ファンの声援に応える中日・山本昌

交流戦 中日4-2日本ハム

(5月15日 ナゴヤD)
 マウンドを降りた時の痛々しい姿はなかった。それどころか笑っている。勝利後、中日・山本昌は左足を引きずってベンチを飛び出した。「早くこい!」。山崎を呼び寄せ、ナインを先頭で出迎えた。

 お立ち台での第一声。「大丈夫じゃないです」。6回、先頭・陽岱鋼(ヨウ・ダイカン)の痛烈な打球が左すねを直撃して降板。でも次のセリフが頼もしい。「痛いですけど歩けますし、膝じゃなくて、すねだったので何とか次も投げられると思います」。5回0/32失点で2勝目。47歳9カ月で自身が持つ最年長先発勝利を更新し、5年ぶりの白星を挙げた交流戦でも最年長勝利だ。

 「7キロ差」で幻惑した。1点リードした直後の4回。1死無走者の場面で4番・中田を迎えた。一発を警戒し、コースを際どく突き3ボール。全く慌てない。真ん中低め131キロシンカーで見逃しストライク。5球目だ。右足を振り子のように思い切り上げ、その反動を利用して内角高めに投げ込んだ。この日最速の138キロ直球。完全に詰まらせ二飛に仕留めた。老かいな投球で野手8人全員を右で並べた日本ハム打線を手玉に取った。

 左太腿裏の張りから復帰した前回5日DeNA戦(ナゴヤドーム)は4回途中2失点KO。汚名返上を懸けたマウンドだった。5回にクラークが2ランで援護射撃。「もう少し長い回を投げるぞ」。気合を入れた矢先の降板劇に「次の回に…。恥ずかしい」と悔しがったが、それを聞いた高木監督は「これでいいんじゃない、という神様のあれじゃない」と苦笑いだ。

 通算215勝目。史上16位タイで球団OBの杉下茂、村田兆治(ロッテ)に並んだ。2人が決め球にしたフォークのような絶対的なボールは持っていない。それでも制球力と投球術で勝ち星を重ねる。「杉下さんには入団時からお世話になっているし、やっと並べたのはうれしい。抜いたら電話しようかな」。その大先輩からは「50歳になっても現役でやっていける」とエールを送られている。「投げる伝説」。山本昌はまだまだ勝つ。

 ≪48歳シーズン年間2勝は初≫47歳9カ月の山本昌(中)が今季2勝目。自身が持つセ最年長勝利を2カ月更新し、交流戦では09年工藤(横)の46歳0カ月を上回る最年長勝利になった。これで、40代になってから36勝目。40歳以上の通算最多勝利は前出工藤の38勝だが、若林(神、毎日)に並ぶ2位タイに浮上した。また、48歳シーズン以上での勝利は他に50年浜崎(阪急=49歳シーズン)の1勝があるだけで、同年齢以上での年間2勝は山本昌が初めてだ。

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