兄死去その日に…中畑監督 退場「審判も命懸けなら、俺も命懸けです」

[ 2013年5月16日 06:00 ]

<D・楽>6回、DeNA・中畑監督(左)に暴力行為があったとして退場を宣告する橋本三塁塁審(右)

交流戦 DeNA5-7楽天

(5月15日 横浜)
 絶対負けられない。強い思いがあった。6回無死一、二塁の守り。小山伸のバントは捕前に転がった。鶴岡が三塁へ送球。二塁走者の島内が滑り込む。タイミングは微妙だったが、判定は「セーフ!」。DeNA・中畑監督は勢いよくベンチを飛び出した。

 橋本三塁塁審に激しく詰め寄る。勢い余って突き出した胸や、右肘が同審判の体に接触。「暴力行為」で退場を宣告された。4月16日の広島戦(マツダ)に次いで今季2度目、監督通算3度目の退場。前回「次にやったら罰金だけでなく出場停止も」と警告を受け、自制していたが、体が勝手に動いてしまった。

 この日朝、悲しい知らせが届いた。3年前から大腸がんと闘っていた兄・栄三さんが午前1時、福島県郡山市内の病院で帰らぬ人となった。享年64。昨年12月5日、子宮頸(けい)がんで最愛の仁美夫人を失ったのに続く肉親との別れ。病床からずっと応援してくれていた3番目の兄を弔うためには負けられない一戦だった。だが…。問題のプレーの後、1死二、三塁から野選や失策が絡んでこの回3点を追加されこれが重くのしかかった。

 監督室で敗戦を見届けた中畑監督は広報にコメントを託し、栄三さんの亡きがらが戻った矢吹町の実家に車で向かった。

 「あの場面はゲームを左右するビッグプレーだった。選手の顔を見ても、表情を見ても、ついつい熱く抗議してしまった。信念を持って抗議しました。審判も命懸けなら、俺も命懸けです」

 痛い敗戦で4連敗。借金は4となった。

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