逆転劇は内川の見逃しから…「腐ったヒットでいい」

＜ブラジル・日本＞８回無死、左前打を放つ内川

ＷＢＣ１次ラウンドＡ組 日本５―３ブラジル

（3月2日 ヤフオクドーム）
　完璧に見極め、余裕で見逃した。８回。逆転劇は内川（ソフトバンク）の見逃しから始まった。

　「前の回に松田と坂本が振らされていたから。あの球をすんなり見逃せたのが大きかった」

　先頭打者で１ボール２ストライクと追い込まれての４球目。ブラジルの左腕・仲尾次のチェンジアップにバットが止まった。「きれいなのはいらない。腐ったヒットでいい」。狙いは一、二塁間。長くボールを見ることだけに集中して外に抜かれたボール球を見極めた。続く甘いスライダーを左前打。逆転への口火を切った。

　データではノーマークの球種だった。白鴎大から今春ホンダ入りする仲尾次は要注意の投手の一人。２月にホンダの練習視察までした橋上戦略コーチは「きょうは腕が振れてタイミングを完全に外された。去年の予選や練習を見たときとは別物だった」。２月２８日のソフトバンク戦で１球も投げなかった球種。その球を７回に松田、坂本が空振り三振したのを見て即インプットした。ブラジルが勝つためにつぎ込んだ仲尾次を攻略。日本を救ったのは、内川の価値ある見逃しだった。

　▼山本監督　内川があの（仲尾次の決め球）チェンジアップをよく見極めてくれた。