ブラジル野球の特徴 日系人が教えた技術にパワーがミックス

[ 2013年2月7日 06:00 ]

ブラジルのヤクルト野球アカデミーで練習する選手たち(黒木豪氏提供)

 「横綱と、幕内に上がったばかりの力士がやるようなもの。でも、ブラジルらしい野球ができれば何かが起こる可能性はゼロじゃない」。侍ジャパンとの初戦を前に、ブラジル代表の打撃・走塁コーチを務める黒木豪さん(27)は力を込めた。

 黒木さんは03年、横浜高3年のセンバツで4番を打ち準優勝。同期に成瀬(ロッテ)、1学年下に涌井(西武)らがいる。09年にJICA(国際協力機構)の一員としてブラジルへ。サンパウロで少年野球のコーチとなり、その実績が認められ10年に代表コーチに就任した。

 ブラジル野球の特徴は「日系人が教えてきた日本式の技術と、ラテン系のパワー。それがうまくミックスされている」と黒木さん。バントや進塁打なども駆使し、豪快さと繊細さを併せ持つ。チームは24日に大阪で始動。26日のオリックス戦(京セラドーム)など2試合を行って本番に備えるが、侍ジャパンのような代表合宿はない。「正直な話、合宿はしたいが経済的に苦しい。野球競技が五輪から除外され、国からの援助金もゼロになったので…」。環境は厳しいが「失うものは何もないので」と番狂わせを狙う。

 ブラジル野球連盟の設立は90年。歴史は浅いが、同連盟の日本事務局長・曽川博さん(45)は「1916年にサンパウロで日本人が初めて試合を行った、という史料があります」。日本からの移民が愛し、戦前から地球の裏側で育て続けた野球。現地のヤクルト商工などが00年に開校した野球アカデミーを卒業した多くの選手も、日米などでプレーしている。ブラジルの日本野球へのリスペクトの念は大きい。

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2013年2月7日のニュース