俊介 スカイフォークついに完成間近 稲葉封じへ足かけ10年

[ 2013年2月7日 06:00 ]

ロッテ・渡辺俊は今季挑戦している「スカイフォーク」の握りを披露

 プロ13年目、36歳のサブマリンが「新魔球」の完成間近だ。第1回WBCでは日本のエース格だったロッテ・渡辺が、ブルペンで157球。そのうち約50球をチェンジアップに費やした。

 「覚えたい球があるんで、投げられるだけ投げている」

 地面すれすれから繰り出された球は、ふわりと浮き上がってから打者の膝元付近でストンと落ちる。野球漫画「ドカベン」の中の里中の魔球「スカイフォーク」と酷似する。球速はシンカーより10キロほど遅い100キロに届くか届かないほど。フォークに似た軌道を描く渡辺のチェンジアップは回転が不規則で、「汚い回転の方が打者は嫌がるから」。ブルペンで受けた捕手の江村も「捕るのも難しい。落差は20センチぐらいありますね」と驚きの表情を浮かべた。

 悲願の新球でもある。渡辺がチェンジアップの習得に本格的にトライしたのは04年。「試合でも投げたことはあるけど、そのうち里崎からサインが出なくなって…」。下手投げ投手が投げるチェンジアップはカーブと逆で、リリースする瞬間は球の握りが下向きにならなければならない。だから、ふわっと抜くように投げるのが難しい。長きにわたって試行錯誤を続けた結果、昨年11月にたどり着いたのが現在の握りだ。それまで親指と人さし指でつくった「OK」の形から改良したところ、「自分がイメージしたように変化した」という。

 足かけ10年でついにゴールが見えてきた新球。それは左打者対策、中でも日本ハム・稲葉を意識してのボールだ。「カモにされてきた左打者をきりきり舞いさせてやりたい。稲葉さんは筆頭です。2000安打にずいぶん貢献したんでね」。過去、対稲葉は73打数33安打で被打率・452。宿敵を封じるために、左打者の内角に入ってこないチェンジアップが欲しかった。

 「長くやっていると打者が慣れてくる。引退するまでは成長しないと」。スカイフォークで新境地を切り開く。

 ▽スカイフォーク 野球漫画「ドカベン」の里中智が投げた魔球で、アンダースローのフォーク。地面ギリギリで投球し、高く浮き上がった球が急激に打者の手元で落ちる。手首が極端に柔らかい里中の特長を生かしたボール。

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2013年2月7日のニュース