桧山「懐かしかった」 本当?冗談?耳を疑った監督の一言

[ 2012年12月22日 13:25 ]

5月27日の西武戦で約3年ぶりに先発出場した阪神・桧山だったが…

野球人 阪神・桧山進次郎(上)

 阪神・桧山はいつものルーティンをこなしていた。5月27日、西武戦(甲子園)の試合前。外野を走っていると、関川外野守備走塁コーチ(現打撃コーチ)とその日の先発オーダーを話し合っていた和田監督から、声をかけられた。

 「ひーやん、いけるか?ちょっと頭に入れておいてくれ」

 その瞬間は「冗談なのか本当なのか分からなかった」。しかし「大丈夫です」と返した。「どっちかな」と疑心暗鬼のまま練習を続けた。フリー打撃に入るケージ横で「頼むぞ、先発だからな」と再度言われ、確信した。

 「試合までの流れとかね。懐かしかった」

 「5番ライト・桧山」のアナウンス。甲子園が沸いた。09年6月13日のロッテ戦(千葉マリン)でDHに起用されて以来約3年ぶりとなる先発出場。右翼での先発は08年8月7日の広島戦(京セラドーム)以来4シーズンぶりだった。

 結果は3打数無安打。しかし代打が本職となった06年以降も「ちゃんと準備だけはしておきたい」と守備と走塁練習を怠ったことはない。それだけに、急な指名による準備不足が打てなかった原因では、決してない。

 今季の年間打席数は69。代打では1打席の間隔が長いため、一度トンネルに入ると抜け出すのは難しい。8月23日の中日戦(倉敷)で、4―3の8回1死満塁から左前2点適時打。セ・リーグ歴代3位タイで、球団記録の八木裕氏(現2軍打撃コーチ)の代打通算98打点に並んだが、この1本を最後に12打席無安打でシーズンを終えている。

 「チームの成績と一緒に自分の成績もガクンと落ちて、終わってみれば9月ヒットなしで終わった。これではあかん」

 個人記録のことを言っているのではない。低迷したチームを浮上させられなかったことが悔しい。9月22日の中日戦(甲子園)に敗れ、01年以来の借金20。当時を知る選手はもう桧山しかいない。だから危機感も誰よりも強い。

 「あの時(01年)はチームが強くなっていく過程。同じ借金20でも今年とは全然違う」

 生え抜き21年目を終えた。今は「代打の神様」としてファンから支持されている。4番打者として23本塁打、82打点という成績を残した97年の5位を挟んでその前後6年間は最下位だった。暗黒時代を、2度のリーグ優勝を経験しているからこそ、現状を嘆き、チャンスに立つ打席の重みを知っている。

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2012年12月22日のニュース