喜びより謝罪の言葉…大谷 メジャーは「将来的には凄く行きたい」

[ 2012年12月10日 06:00 ]

日本ハム入団を決断した大谷(右)は栗山監督と固い握手を交わし少しだけ笑顔を見せた

 メジャーの夢は諦めない――。花巻東(岩手)の大谷翔平投手(18)が9日、岩手県奥州市内のホテルで会見し、日本ハムに入団することを表明した。ドラフト前にはメジャー挑戦を表明し、1位指名された際には入団拒否の姿勢を打ち出したが、計6度の交渉で気持ちが動いていったことを告白。投手と野手の二刀流にも意欲を見せ、将来は日本一投手となってメジャー挑戦する。

 ようやく、大谷が少しだけ笑顔になった。会見後に栗山監督と握手した瞬間、硬かった表情を崩した。

 「本日、日本ハムファイターズさんの方に入団させていただくことを伝えさせていただきました。たくさんの方にご迷惑をおかけして、本当に申し訳なかったです」

 約100人の報道陣が集まった会見場で笑みはなかった。26分間の会見は、日本ハムに入団する喜びよりも、謝罪の言葉が続いた。「花巻東高校の(佐々木洋)監督さん、日本球界の方、遠くアメリカから来ていただいたメジャー球界の方、応援してくださった方々に申し訳ない。日本でプレーする姿を見てもらって、恩返しができれば」。一度はメジャー挑戦を表明しながら国内でプレーする責任の重さを、18歳は受け止めていた。

 10月25日のドラフト当日、入団の可能性は「ゼロ」と断言した。しかし徐々に気持ちは傾き、悩み、苦しんだ。メジャー挑戦の会見まで開いたのだから当然といえた。野球部員にも相談できず、逆に気遣った仲間たちも進路の話題を避けた。放課後、ユニホームを着る時間だけが、野球に打ち込める時間だった。キャッチボールで必死に腕を振り、周囲からは「夏よりもいい球が来ている」と言われた。

 考え抜いて出した結論は日本ハム入り。ただ、メジャーリーガーになる夢は変わっていない。「将来的には凄く行きたい。日本ハムさんで日本一になって、大きな選手になって巡り合わせがあれば(メジャーに)挑戦したい」。ドラフトから45日。160キロ右腕は大きな夢の第一歩を、北の大地から踏み出すことを決めた。

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2012年12月10日のニュース