左腕・森福 対右打者でも使える 徹底した外角攻め奏功 

[ 2012年11月19日 06:00 ]

<キューバ・日本>4番手の森福は6回を1安打無失点に抑える

侍ジャパンマッチ2012 日本代表3―1キューバ代表

(11月18日 札幌D)
 何かを意識させる。それがキューバの強打を封じる最善策。有効なデータを得たのは6回だ。スコアは0―0。2番・ベルからの打順で、侍ジャパンの首脳陣は満を持して変則左腕の森福を投入した。

 「自分の投球を自由にしてこい」。東尾投手総合コーチからそう送り出された森福は、キューバ封じのヒントが凝縮された11球を投じた。

 先頭・ベルに4球続けた外角が甘く入り、踏み込まれて右前打。グリエルは外角スライダーで右飛に打ち取り、A・デスパイネを迎えた。「0―0だからインコースは危険。外スラがいいイメージだったので、外でカウントを整えた」。1死一塁。長打は許されない場面で絶妙の配球だった。

 外に逃げるシュートと外から入るスライダーを2球ずつ続けて、見逃し、ボール、見逃し、ファウル。5球目の内角高めの136キロ直球で空振り三振だ。捕手・嶋は「外を続けて目付けが外。だから内に行った」。136キロでも振り遅れていた。続くセペダも外角シュートで遊ゴロ。走者を置いた場面で右打者の中軸を完璧に封じ込めた。

 プレートの左端を踏んで左の横手から投げてくる森福。外角の変化球は逃げる球も、入ってくる球もボールに見える。それは、全員が鋭く踏み込んでくるキューバ打線にも有効だった。11球のうち内角は1球だけ。でも、外角を徹底して意識させて唯一の内角を生かした。橋上戦略コーチは「遅い外スラの残像があるから振り遅れていた。何かを意識させることが重要。左(投手)は有効」と分析。嶋も森福について「左のワンポイントだけでなく右打者にも使える」と言った。

 「いいデータだったらうれしいですね」。森福の笑みがキューバ対策最大の収穫だった。

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2012年11月19日のニュース