打撃が課題だった寺内 阿部主将の言葉が生んだ先制V打

[ 2012年10月23日 06:00 ]

<巨・中>2回に先制の2点適時打を放ち、ハイタッチで迎えられる巨人・寺内

セ・リーグCSファイナルS第6戦 巨人4―2中日

(10月22日 東京D)
 一塁ベース上で巨人の8番打者は拳を握った。2回無死満塁。値千金の先制2点打に寺内は喜びを爆発させた。「みんなが必死につないでくれた場面。最終戦でなかなかチャンスはつくれないと思っていた。何とかしたかった」

 打席では冷静だった。伊藤に2球で追い込まれたが、3球目は直球が外れてボール。「満塁だしバットに当たれば何とかなる。(相手は)真っすぐは当てやすいから嫌なんじゃないかなと思った」。変化球に狙いを定めた。4球目。読み通りの139キロフォーク。体勢を崩されることなく低めを左前に運んだ。

 今季はプロ6年目で初めて開幕を1軍で迎えた。打撃が課題だったが、守備や走塁には定評があった。CSファイナルS開幕前の11日の練習では、有事の際の「第三の捕手」として2年前の春季キャンプ以来となる捕手の練習にも取り組んだ。寺内相手に投球練習を行ったゴンザレスも「凄く尊敬できる」と話した。そんな器用さは大きな武器となり、今年は一度も2軍落ちがなかった。

 心の支えは主将の言葉だった。3連敗で迎えた20日のミーティング。阿部が「負けられない状況なので開き直ろう」と声を掛けた。「やらなきゃいけないと思った」と寺内。第5戦では同点の9回無死一、二塁で代打で犠打を決めてサヨナラ勝ちにつなげた。この日も、相手先発は左腕の大野ではなく右腕の伊藤だったが「スタメンでも代打でもやれることは変わらない」と集中した。

 第5戦に続く脇役陣の活躍に原監督も「伏兵といいますか、古城、テラ(寺内)。非常にいいバッティングをしてくれましたね」と目を細めた。「しっかり準備したい」。寺内は日本シリーズでも、いぶし銀の活躍を目指す。

 ◆寺内 崇幸(てらうち・たかゆき)1983年(昭58)5月27日、栃木県生まれの29歳。栃木工からJR東日本に進み、06年都市対抗で4強。インターコンチネンタル杯の日本代表に選出された。同年の大学・社会人ドラフト6巡目で巨人入団。今季は自身初の開幕スタメンを果たした。通算成績は347試合で打率・218、2本塁打、17打点。1メートル77、73キロ。右投げ右打ち。

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2012年10月23日のニュース