10・8雪辱ならず…高木監督「強いか弱いかでしょう」

[ 2012年10月23日 06:00 ]

<巨・中>喜ぶ巨人ナインを見つめる中日・高木監督

セ・リーグCSファイナルS第6戦 中日2―4巨人

(10月22日 東京D)
 敗退が決まった瞬間、中日の高木監督は帽子をとってグラウンドに深々と一礼した。巨人ナインが歓喜を爆発させる姿を目に焼き付けた。

 「きょうは悔しいの一言。3連敗なら悔しくないけど、3連勝したからね」。3連勝で一気に王手をかけながら、まさかの3連敗。「10・8決戦」のリベンジへあと一歩としながら、またしても敗軍の将で終わり、無念さをにじませた。

 中3日で先発に立てた4年目の伊藤が2回につかまり3失点。高木監督は劣勢の中で、4回に抑えの山井を投入する執念を見せた。打線も6、9回に1点ずつ返したが、届かなかった。試合後、選手を「よくやってくれた、ありがとう」とねぎらった指揮官。しかし「勝負は頑張っただけではいかん。結果を出さないといけない」。引き揚げる足取りは重かった。

 2度目の監督就任1年目は「打倒・巨人」を掲げてきた。現役時代は中日のスーパースターだったが、当時は全国的に巨人以外の球団は注目されていなかった。「そうやって育ってきたから」。巨人へのライバル心と反骨心は自然と生まれた。

 「10・8」の屈辱も拍車を掛けた。当時の巨人・長嶋監督が先発三本柱の槙原―斎藤―桑田という捨て身の継投に対し、自身は先発・今中の後に中継ぎ陣を投入。郭源治(カクゲンジ)といったエース格の投手をつぎ込めずに敗れた。「当時は負けている展開で先発投手を突っ込むなんて考えはなかった」。後悔はないが、悔しさは生涯消えない。だからこそ、巨人への対抗心は人一倍強い。その宿敵にまたも屈した。巨人との差を問われ「強いか、弱いかでしょ」と怒りを抑えるように答えた。

 落合監督の指揮の下、リーグ2連覇を果たした常勝軍団を引き継いで臨んだ。しかし、71歳の将は3年連続の日本シリーズを戦うことなくシーズンを終えた。「これで終わり」。最後まで表情は硬いままだった。

 ≪セでは初の屈辱≫中日は3連勝後に3連敗で敗退。日本シリーズをかけたプレーオフ、CSで王手をかけながら敗れたのは77年ロッテ、10年ソフトバンクに次いで3度目。セでは初の屈辱となった。それでも今季の中日はCSファーストSでのヤクルト戦2勝を合わせトータル5勝。CS敗退チームの勝利合計としては07年ロッテ、08年日本ハム、11年ヤクルトの4勝を抜き最も多かった。

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