甲子園開幕!仙台育英 被災地に1勝を!

[ 2012年8月8日 06:00 ]

甲子園の開会式リハーサルで元気よく行進し、入場する仙台育英ナイン

 第94回全国高校野球選手権大会が8日に甲子園球場で開幕する。第3試合で佐賀北と対戦する宮城県代表の仙台育英は7日、兵庫県西宮市内のグラウンドで約2時間の最終調整。昨年3月の東日本大震災による津波で仙台市内の自宅が全壊したエース右腕・渡辺郁也投手(3年)は、地元に震災後の県勢初勝利を届けることを誓った。

 復興元年を迎えた地元にエールの白星を届ける。震災後、宮城県勢は甲子園で3連敗中。07年に全国制覇を果たしている佐賀北戦に向け、約40球の投球練習で最終調整を行ったエース渡辺は「復興元年ということで地元の人に勇気や元気を与えたい」と力強く言った。

 渡辺も震災による津波で自宅が2メートル浸水。グラブなどはヘドロまみれになった。惨状を目の当たりにしたからこそ、地元の期待もひしひしと感じている。「自分も被災しているし、地元の友人の家もほとんど流された。友人からも“しっかり頑張ってこい”と言われています」と言葉に力を込めた。

 新しいTシャツでチームの心も一つにした。今年のスローガンである、わき上がる雲に乗った竜が躍動するさまを表した「雲蒸竜変(うんじょうりょうへん)」の文字が入った甲子園用Tシャツがこの日届いた。今年の正月に佐々木順一朗監督が発表したスローガンを、3年生部員が甲子園出場決定後にシャツに入れることを企画して108人の全部員の分を発注。早速、練習で全員が着用してプレーした。渡辺も「全員で手を組んで戦っていこうということ」と仲間の思いを代弁した。

 試合は開会式後の第3試合と難しい調整を強いられるが「持ち味のゴロを打たせる投球をしたい」と自身の投球に集中する。被災地の期待を背負い、スローガンのごとく上昇気流に乗っていく。

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