黒田「最高に気持ち良かった」ヤンキースで初勝利

[ 2012年4月15日 06:00 ]

<ヤンキース・エンゼルス>1回表1死二塁、アルベルト・プホルスを左飛に打ち取る黒田博樹

ア・リーグ ヤンキース5-0エンゼルス

(4月13日 ニューヨーク)
 ヤンキースの黒田博樹投手(37)が13日(日本時間14日)、本拠地開幕戦となったエンゼルス戦に先発。8回0/3を5安打無失点に抑え、ドジャースからの移籍後初勝利を飾った。メジャー5年目で念願のヤンキースタジアム初登板。エ軍の3番アルバート・プホルス内野手(32)から見逃し三振を奪うなど、世界一の夢をかなえるために米残留を決断した右腕が快投劇を演じた。

 この試合最大の拍手と歓声。9回、降板する黒田は4万9386人の大観衆にスタンディングオベーションで出迎えを受けた。試合前の選手紹介。名前を呼ばれても拍手はまばらだった。しかし背番号18を背負った日本人はその右腕で実力を証明。全米一シビアなヤンキースファンに受け入れられた瞬間だった。

「最高に気持ち良かった。1試合でも多く、こういう試合を続けたい」

 現役最強打者 のプホルスを抑え込んだ。初回1 死二塁のピンチで左飛。4回には中前打を打たれたが、6回には見逃し三振を奪った。決め球はカーブ。内角に決まり、のけ反らせた。ストライク判定にプホルスは審判に抗議。それほど曲がりが鋭かった。今季本格習得を目指し、キャンプで磨いた新球。これまでの武器はカットボールやシンカーだったが「速球系(の変化球)だけだと1、2の3のタイミングで来られる。緩急を付けたかった」と言う。カーブは要所で計10球。30代後半になっても飽くなき探求心で投球の幅を広げた。

 反省も生かした。今季初登板した7日レイズ戦では6回途中6失点KO。初回に「1点もやりたくない」とコーナーを突きすぎ、連続四球で崩れた。この日は違った。序盤から攻撃的な投球でストライクを先行。109球中71球で、ストライク率は約65%。前回から7%上昇させ「0点に抑えようというのは習性のようなもの。でも、大胆にいくときはいかないと」と振り返った。

 昨オフ、古巣の広島からもオファーが届く中、悩み抜いてヤ軍入りを決めた。全てはドジャースの4年間で届かなかったワールドシリーズ制覇という夢をかなえるため。ヤ軍も08年プレーオフで2戦2勝と大舞台で強さを見せた右腕に対し、2年前からラブコールを送っていた。相思相愛の末、夢への第一歩となる1勝。それでも「記憶には残るかも。でも1勝は1勝」と言い切った。

 降板時、大歓声にも帽子を取って応えなかった。

 「ワールドシリーズの最後のゲームなら、そういうことも考えたかもしれないけど。シーズンが始まったばかり」

 帽子を取るのは夢をかなえるまで取っておく。

 ▼ジョー・ジラルディ監督 日本の投手は重圧のかかる舞台で投げることに慣れている。

 ▼ラリー・ロスチャイルド投手コーチ 前回は完全な投球を求めてしまったが、今回は攻撃的だった。

続きを表示

この記事のフォト

2012年4月15日のニュース