光った“いぶし銀” 平尾「だまし討ち」V弾!

[ 2010年6月6日 06:00 ]

<ヤ・西>5回無死、ソロ本塁打を放つ西武・平尾

 【西武6―5ヤクルト】プロ17年目、34歳の西武・平尾は、レギュラーとして1シーズンを過ごしたことがない。プロで飯を食べるためには何が必要か。結論は「とにかく考える」ことに行き着いた。気が付けば、チームの野手最年長になっていた。

 今季1号は、ベテランらしい「だまし討ち」だった。同点の5回、先頭で打席に入った。1ストライク2ボールから左腕・石川の内角カットボールに体を開き、思い切り強振して空振りした。その直後。見逃せば完全にボール球の外角高め直球に踏み込み、左翼席上段に運んだ。「狙っていた?それは言えませんよ。久しぶりに気持ち良かった。風にも乗って飛びましたね。また頑張ります」とけむに巻いたが、そこにしたたかさがあった。
 チームは石川対策として8人の右打者を並べた。パ・リーグでは日本ハム・武田勝タイプの技巧派。スコアラーの見解では、右打者への内角高めに食い込むカットボールが一番やっかいな球種だった。本塁打の直前の豪快な空振りを見たバッテリーは、西武打線が最も警戒していた球種を選択できなくなった。
 5月24日の広島戦(マツダ)では初対戦のスタルツに対し、狙っていたチェンジアップを「わざと見逃して」油断させ、勝負球に投じてきたチェンジアップを右前打した。茶髪に顔グロの外見からファンには「チャラ尾」と親しまれるが、野球に真しに向き合い、17年もプロの世界にいる。
 渡辺監督は「高校時代にホームランバッターだった片りんを見せた」と、大宮東時代に68本塁打を放った姿を重ねた。「レギュラーになれるとは思っていない」が口癖の平尾が放った決勝弾で、チームは再びリーグ首位に立った。

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2010年6月6日のニュース