えりちゃん復帰 ナックルで涙のK斬り!

[ 2009年5月30日 06:00 ]

<神戸・明石>ベンチでナインに迎えられ感極まる吉田えり

 【神戸4―5明石】えりちゃんが、63日ぶりにマウンドに帰ってきた。運営会社の撤退などで試合を中断していた関西独立リーグの神戸は29日、明石と対戦。吉田えり投手(17)は9回に登板し、打者1人を得意のナックルで空振り三振に仕留めた。各球団が苦しい経営を強いられる中、ナックル姫の力投は関西独立リーグに久々の明るい話題となった。

【ナックル姫 吉田えり


 6球すべてナックルだった。カウント2―2。最後もやや外角に揺れて落ちる得意の持ち球で空振りの三振。その瞬間、吉田の胸にため込んでいた感情が一気に吹き出してきた。
 「ベンチに戻ると涙が出ました。うれし涙と安心した涙ですね。いい1日になりました」
 一連の騒動のおわびの意味でスタンドが無料開放された一戦。内野3000席の球場にもかかわらず、外野の芝生席を含めて3187人の観客が集まった。「お客さんがいるからリーグが守られている」。試合前にはグッズ販売を行いファンサービスに努めた。リーグの危機を分かっているからこその行動だった。
 3月の開幕戦は「お披露目」を優先した強行登板だっただけに「状態もよくなかったし、自分の中ではあまり投げたくなかった」と言う。その結果、右肩を痛めて投球練習すらできない時期もあった。さらに復帰後にはリーグを揺るがす分配金の未払い問題が発生。この2カ月は胸を痛め続けた日々でもあった。そんな中での快投劇。「いまの気持ちは開幕戦とはまったく違います。投げる準備ができてマウンドに向かったのですから」
 騒動の最中の21日には自身のブログに「まだまだ夢はあきらめられない」と書き込んだ。ひとまず野球ができなくなる危機からは脱した。次の目標は「1イニングを投げきること」。吉田のチャレンジはまだ始まったばかりだ。

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2009年5月30日のニュース