結果的に中田もハムも骨折1カ月“放置”

[ 2008年7月15日 06:00 ]

左手に荷物…大丈夫?病院の精密検査から寮に戻った中田

 実は骨折していた!日本ハムの新人・中田翔内野手(19)が14日、都内の病院で左手首の精密検査を受けた結果、「左手有鉤骨(ゆうこうこつ)鉤骨折」と診断された。全治1カ月で、16日に手術を受ける。6月14日のイースタン・西武戦で痛めたものだが、ふまじめな生活態度を理由に球団から約1カ月間も“放置”されていた格好。フレッシュオールスター(8月2日、山形)も辞退する方向で、怪物ルーキーはまたしても苦難に直面した。

 都内での精密検査を終え、千葉・鎌ケ谷の寮に戻ってきた中田に笑顔はなかった。「軽い手術です」。診断結果は「左手有鉤骨鉤骨折」。15日に入院し、16日に手術を受ける予定で、母・香織さん(44)も上京する。退院まで約1週間、実戦復帰には1カ月かかる見込みだ。
 中田が左手首を負傷したのは、6月14日のイースタン・西武戦。右飛に倒れた7回の第3打席で痛みを訴えて途中交代した。試合後は「無理ッス。今までに経験ない痛み」と苦痛で顔をゆがめ、翌日には「左手でバットを持てないぐらい。状態が悪いようならば内視鏡手術とかも考えたい」とまで話していた。すぐに精密検査を希望したが、球団側の回答は「NO」。野球選手によくある「捻挫」と判断し、病院へ行かせず別メニュー調整を続けさせた。
 結果的には中田の“自己診断”は正しかった。1カ月間も骨折した状態で回復を待っていたことになる。島田チーム統括本部長は「これが中田にとって遠回りだったのかどうかは分からない。彼もなぜこうなったか分かっていると思う」と説明。精密検査が遅れた原因は本人にあるとした。
 球団内には負傷する前から中田の“さぼり癖”を指摘する声はあった。負傷する前日もウオーミングアップに真剣さが見られず、トレーナー陣から「これでケガをしても誰も面倒を見てくれないぞ」と注意を受けていた。さらに、日本ハムは2軍選手に毎朝、体調チェック表提出を義務付けているが、何度となく提出を怠っていた。トレーナー室に時間通りに現れないことも多々あった。
 今回、精密検査の許可を出したことについて、病院に同行した福田トレーナーは「野球人の前に社会人。彼の場合はケガ以外に取り組む課題があった。球団と話し合いその課題がクリアできたら病院に行こうという話になっていた」と説明。島田統括本部長も「ケガと生活態度は別とする考え方もあるが、いろいろな考えがある」とした。
 イースタンでは徐々に本来のパワーを見せ始めていた矢先だっただけに想定外の遠回りとなった。山田GMは「原因が分かってよかった」とし、伝え聞いた梨田監督も「期待していた選手の1人だけに残念。1日も早く回復して豪快なスイングを見せてもらいたいが、まずは焦らずじっくり治療に専念してもらいたい」と話した。プロの厳しさを身をもって痛感した中田。今回の事態がケガの功名となるか。

 ≪タツノリ、ノリも経験≫有鉤骨の骨折はスラッガータイプの打者に多い。現役時代の原監督(巨人)や近鉄時代の中村紀(現中日)、西武時代のカブレラ(現オリックス)らが経験している。骨折の程度によっては全治2~3カ月を要する場合もあり、その後も慢性的な痛みに悩まされるケースが多い。

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2008年7月15日のニュース