福士 トラック向け調整で常識破る
トラックの女王がマラソン界の常識に挑戦する。北京五輪代表選考会を兼ねた大阪国際女子マラソンは27日、長居陸上競技場発着のコースで行われる。初マラソンで注目を浴びる福士加代子(25=ワコール)は26日、午前と午後で合わせて約2時間の最終調整。40キロ走などのマラソン練習を行わずに、42・195キロを走破できるのか。常識に打ち勝った時、北京への道は開ける。
奔放なトラックの女王は、決戦を控えても何も変わらない。並のランナーなら緊張感が漂うレース前日、福士は普段通りの姿を見せた。早朝の練習を終えると、大きなあくびをしながら宿泊ホテルへ。午後の練習では大阪国際に過去3度出場した小崎まり(ノーリツ)と談笑しながらジョギング。コメントはしなかったものの、いつもの笑顔が自信を物語っていた。
初の42・195キロはマラソン界の常識への挑戦だ。昨年12月16日の全日本実業団対抗女子駅伝後、大阪国際に向けた練習に着手したが、一般的なマラソン練習とは程遠い。最長距離は徳之島合宿で“尚子ロード”を走った32キロ。定番である40キロ走をしないばかりか、内容はトラックレースと変わらないという。
練習メニューだけでなく、約1カ月間という準備期間も常識外れ。非常識な臨戦過程で42・195キロを乗り切れるのか。04年アテネ五輪金メダリストの野口みずきは「ハーフまではトラックの延長でいける。30キロ以降は彼女がどう走るか」と話す。それでも、永山監督は「距離走を何回やるとか、そういうもんじゃない」と語気を強めた。
作戦も27日の天候を見てから判断する。スピードを生かして序盤から独走する可能性もあれば、同監督は「トラックに持ち込むことを考えているかも」とラスト勝負も示唆した。初マラソン歴代10傑中7つを占める大阪国際は、好記録量産レース。トラックの女王が北京切符を手にした時、非常識は常識に変わる。
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