【紫苑S】さあ秋競馬開幕!ガーネット“超二刀流配合シンデレラ”南関との3冠道

[ 2019年9月3日 05:30 ]

中央移籍初戦に挑むトーセンガーネット
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 美浦の秘密兵器となるか。南関東牝馬2冠の看板を掲げ、中央へ移籍したトーセンガーネットが紫苑Sでベールを脱ぐ。3月に行われた南関牝馬1冠目の浦和桜花賞を7馬身差で圧勝。続く2冠目、4月の東京プリンセス賞(大井)も快勝した。3冠を懸けて臨んだ6月の関東オークス(川崎)は交流重賞。中央馬2頭に先着を許したが、地方勢最先着となる3着を死守し、ポテンシャルの高さを誇示した。

 その後、新たな可能性を求めて中央移籍を決断。美浦・小笠厩舎に転入し、芝路線を目指す。小笠師は印象を「ダートの重賞を勝ってきた馬なので筋肉モリモリかと思ったが、体はきゃしゃな馬」と語る。前走の体重は449キロ。スマートな体形から芝はこなせそうな印象を受ける。新コンビを組む武藤も1週前追いに騎乗。「癖がなく乗りやすい。走りも軽かった」と手応えを感じている。

 血統も魅力だ。父アグネスデジタルは元祖・二刀流。天皇賞・秋、香港C、フェブラリーSなど芝砂を問わず国内外でG1・6勝のオールラウンダーだった。母の父クロフネも01年にNHKマイルC、JCダートと同一年に芝、ダート両G1を制覇。血統表をさかのぼれば3代母に94年桜花賞2着ツィンクルブライドの名前も。血統面からも芝に適応する可能性は十分ある。

 “2冠牝馬”とはいえ、その道のりは平たんではなかった。昨年6月にデビューし初勝利は4戦目。船橋で出走した6戦目では、後続を1秒以上離して1位入線しながら、レース後に禁止薬物が検出され失格処分も経験した。3歳牝馬ながら既にキャリア13戦。華麗な称号とは裏腹の“叩き上げのヒロイン”だ。「折り合いに不安がないので距離は大丈夫。芝の適性をここで確かめたい」と小笠師。父もダートでキャリアを積み、3歳秋で挑戦したマイルCSで芝初勝利。その後の飛躍につなげた。波瀾(はらん)万丈の娘も…。期待を抱かせる中央移籍初陣だ。

 《73年社会現象ハイセイコー》南関東から中央へ移籍した最大の成功例は元祖アイドルホースのハイセイコー。72年に大井で重賞・青雲賞などデビュー6連勝。翌73年に中央に移籍し、同年皐月賞、74年宝塚記念などを勝った。南関S1馬の3歳での中央移籍は近年では10年東京ダービー馬マカニビスティー、10年東京プリンセス賞勝ちのトーセンウィッチがいるが、2頭は共にデビューは中央。南関生え抜きのS1馬の3歳での挑戦は異例だ。

 《注目出世レース》紫苑Sは16年にG3となったのを契機にメンバーレベルが上がり、注目の出世レースとなった。16年2着ヴィブロス(同年秋華賞、17年ドバイターフ)、17年Vディアドラ(同年秋華賞、19年英ナッソーS)、18年Vノームコア(19年ヴィクトリアM)と、好走馬から後のG1馬が続出している。

 《“因縁”01年秋天デジタルとクロフネ》アグネスデジタルとクロフネは01年天皇賞・秋の“因縁”が有名。当時の外国産馬の出走枠は2で、1頭は同年宝塚記念Vのメイショウドトウ。デジタルが南部杯Vから急きょ参戦したことでクロフネは出走がかなわなかった。クロフネは天皇賞・秋前日の武蔵野Sに回って初ダートで9馬身差の圧勝。デジタルは4番人気ながらテイエムオペラオーを差し切ってG1・3勝目を挙げた。

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2019年9月3日のニュース