【桜花賞】アーモンド100点!名画ほうふつ“名牝の瞳”

[ 2018年4月3日 05:30 ]

名画をほうふつさせる美しい瞳に底知らぬ可能性を感じさせるアーモンドアイ
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 東西2強と呼ぶにふさわしいスーパーボディーだ。鈴木康弘元調教師がG1有力候補の馬体を診断する「達眼」。第78回桜花賞(8日、阪神)では東のエース・アーモンドアイ、西の無敗馬・ラッキーライラックにそろって100点満点を付けた。中でも達眼が絶賛するのは底知れぬ可能性を感じさせるアーモンド形のアイ(目)だ。

 馬の名画で知られる近世イギリスの画家、ジョージ・スタッブスの作品群がロンドンのナショナル・ギャラリー(英国立美術館)に展示されています。草原のかなたを見つめる美しい鹿毛馬。澄み切った聡明な瞳が凡百の馬との違いを際立たせています。アーモンドアイはそんなスタッブスの名画を思い起こさせてくれる。同じ瞳を持った鹿毛馬です。

 「アーモンドアイ」とは字面通りアーモンドのように切れ長で中心がふっくらした眼力のある瞳。女優で言えば綾瀬はるか、黒木メイサのような目です。美人の条件でしょうか。この3歳牝馬は美しい瞳をスタッブスが描いた名馬のように遠くへ向けています。引き手を持つ前方のスタッフでもなく、真横からレンズを向けるカメラマンでもない、どこか“かなた”を静かに見据えながらたたずんでいる。目線に合わせて両耳を奇麗にそろえています。G1馬体診断を2年半続けていますが、こんな瞳に触れたのは初めて。目は心の窓といいます。心の余裕、穏やかさを端的に示した目。いや、それ以上に人知を超えた何か、底知れないスケールのようなものを伝えているのかもしれません。

 馬体で最も際立つのは牝馬離れした胸の深さです。スマートレイアーも深い胸を持った牝馬ですが、こちらも負けていない。大きな肺や心臓を収容する大きな胸です。適度なボリュームのある首差し、形と角度の良いトモ(後肢)。素晴らしい体つきです。一点だけ気になるのは右飛節から下の部分。窮屈な形状に映りますが、才能にあふれた上体を前にすれば、大した問題ではないでしょう。

 4戦全勝ラッキーライラックが不動のヒロインを務める今回の桜花賞。無敗ロードに立ちはだかるライバルがいるとすれば…。目は口ほどに物を言う。英国の名画のように遠くを見据えた聡明な瞳。希代の名牝の相かもしれません。(NHK解説者)

 ◆鈴木 康弘(すずき・やすひろ)1944年(昭19)4月19日生まれ、東京都出身の73歳。早大卒。69年、父・鈴木勝太郎厩舎で調教助手。70〜72年、英国に厩舎留学。76年に調教師免許取得、東京競馬場で開業。94〜04年に日本調教師会長を務めた。JRA通算795勝、重賞はダイナフェアリー、ユキノサンライズ、ペインテドブラックなど27勝。

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2018年4月3日のニュース