【皐月賞】イスラボニータ DNA検査で2000メートル問題なし!

[ 2014年4月16日 05:30 ]

未知の距離2000メートルも「問題なし」と判定されたイスラボニータ

 競馬は血のドラマだ――。東京スポーツ杯2歳S、共同通信杯で重賞2連勝を飾ったイスラボニータが今週の「第74回皐月賞」に出走する。2000メートル以上の距離は未経験だが、DNAから距離適性を予測する「エクイノム・スピード遺伝子検査」で“問題なし”と判定された。同馬の可能性と検査のメカニズムを探ってみた。

【皐月賞】

 イスラボニータは未知の距離に対応できるか。その可能性を推し量る材料はレースぶりや血統、馬体だけではない。「エクイノム・スピード遺伝子検査」とは、競走馬が持っているミオスタチンと呼ばれる遺伝子の型を解析し、距離適性を判定するもの。この遺伝型は3種類あり、「C/C型」は短距離傾向(最適距離1000~1600メートル)、「C/T型」は中距離傾向(同1400~2400メートル)、「T/T型」は中・長距離傾向(同2000メートル以上)。10年にエクイノム社(愛国の遺伝子会社)が開発したこの検査の信頼性を世界に広めたのは英国のG1ホース、ドーンアプローチだった。

 昨年の英クラシック第1冠・2000ギニー(1600メートル)でデビュー7連勝、G1・3連覇を達成した同馬の遺伝型は短距離傾向の「C/C型」。マイルを超える距離に経験がないため、第2冠、英ダービー(2400メートル)の出否をめぐって意見が真っ二つに分かれた。馬主のゴドルフィンは4番手から5馬身抜け出した2000ギニーのレースぶりから「絶対能力の違いで距離を克服できる可能性がある」と主張。母馬(ヒムオブザドーン)は短距離馬だが、父・ニューアプローチが英ダービー馬という血統背景もあった。一方、ジム・ホルジャー調教師は「エクイノム・スピード遺伝子検査」の共同開発者として知られており、自らの検査結果から距離限界説を唱えた。出走に踏み切った英ダービーの結果は…。1番人気で最下位12着に終わった。

 「イスラボニータはどこまで距離がもつのか」。オーナーブリーダーの社台ファームがこの検査を依頼したのは、同馬が放牧に入った昨年12月のこと。エクイノム社とのライセンス契約で同年6月から検査を開始している競走馬理化学研究所(栃木県宇都宮市)に検体用の血液を送付したところ、中距離傾向の「C/T型」だった。

 「栗田さん(調教師)はダービーを最大目標に定めているが、(短距離~マイル色の強い)フジキセキ産駒だから気になって鑑定してもらった」と明かす同ファーム・吉田照哉社長。「1400メートルから2400メートルと適性距離に幅がある鑑定結果だが、要するに中距離(傾向)ということでしょう。ダービーはぎりぎりの距離。少なくとも皐月賞は全く問題ない」と胸をなで下ろした。

 昨年のいちょうSから東京1800メートル戦で3連勝。3~4番手で折り合い、直線坂上で爆発的な脚を繰り出したレースぶりは距離不安を払しょくする。そのうえ、ドーンアプローチよりも距離に融通が利く傾向の遺伝型。栗田師は「2000メートルはもちろん、2400メートルにも対応できるはずだ」と、ダービーの頂点まで見据えている。

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