【宝塚記念】1着ナカヤマフェスタ

[ 2010年6月28日 06:00 ]

ナカヤマフェスタ(右)が差し切って優勝

 上半期を締めくくるグランプリ「第51回宝塚記念」は阪神競馬場で行われ、中団を進んだ8番人気ナカヤマフェスタが直線で豪快に伸び、重賞3勝目が悲願のG1初制覇。1番人気ブエナビスタは2着。史上初の宝塚記念連覇に挑んだドリームジャーニーは4着に終わった。優勝したナカヤマフェスタは登録を済ませた世界最高峰の凱旋門賞(10月3日、仏ロンシャン競馬場、芝2400メートル)参戦を表明。皐月賞馬ヴィクトワールピサとの強力タッグで、日本調教馬初の凱旋門賞Vを目指す。

 執念が実った。夏の太陽が戻った仁川の夢舞台でナカヤマフェスタが完全復活。ゲート入りを嫌がり騎手が下馬したのはご愛きょう。中団につけて最終4コーナーで一気に前団へ。残り1F、5万観衆の誰もがブエナビスタとアーネストリーの一騎打ちと思った瞬間、未完の剛脚が火を噴いた。豪快に2頭をまとめて抜き去ったところがゴール。
 大仕事を終えた柴田善は心地良い笑顔。G1は06年高松宮記念(オレハマッテルゼ)以来7勝目。昨年1月、腰ついヘルニアの手術を乗り越え、今年初めから円熟技はさえわたっていた。「4年ぶり?忘れた頃にやりますね。昨年は腰の手術でリズムに乗り切れなかった。同じ二ノ宮厩舎のアクシオンがすぐ前で引っ張ってくれたので、4コーナーでもスムーズに外に出せた。気の悪さも見せず、気分良く走ってくれた。スタッフの方に感謝したい」
 チーム力の勝利だ。2度の関西遠征(菊花賞12着、中日新聞杯13着)で敗戦。試行錯誤の上、出した結論が“栗東滞在”。17日に美浦から栗東へ。コース入りを嫌がったり鞍上を振り落としたこともある性格も配慮し、僚馬ナカヤマスウェプトを帯同させた上に、堀内、佐々木助手の2人を送り込んだ。
 「G1の喜び?久しぶりなんで忘れちゃったよ」。あのエルコンドルパサーで制した98年ジャパンC以来、12年ぶり制覇となった二ノ宮師は“戦術”を問われると真顔になった。「どうしたら馬にストレスがかからないやり方ができるか?最善の方法ができた。栗東入りは厩舎のみんなで決めた案。結果は後からついてくるので過程が重要だと思う。調教自体は美浦でも変わりないが、フェスタに関しては輸送とメンタルな面で栗東に移って良かったと思う」
 2歳時、新馬→東京スポーツ杯2歳S連勝でG1候補と呼ばれた大器がついに極めた頂点。秋は1次登録を済ませた凱旋門賞に挑戦だ。「秋?フェスタは、和泉オーナーのお嬢さん(信子さん)が以前所有していた馬。その思い入れをみんなで形にしたい。国内に進む時の準備も、凱旋門賞に行く時の飛行機も準備はしている。馬主さんと相談して決めたい」と二ノ宮師が語れば、和泉信一オーナーは「勝っても負けても凱旋門賞に行くつもりだった。ずっとそれだけの馬と思っていたし、こうして結果を出せてうれしい。現地で前哨戦を使うかなどは先生(二ノ宮師)にお任せします」と参戦を明言。師にとっては99年に半馬身差2着で栄冠を逃したエルコンドルパサーから12年越しの雪辱戦。“チーム二ノ宮”の壮大な夢は今秋、さらにヒートアップする。

 ◆ナカヤマフェスタ 父ステイゴールド 母ディアウィンク(母の父タイトスポット)牡4歳 美浦・二ノ宮敬宇厩舎所属 馬主・和泉信一氏 生産者・北海道むかわ町新井牧場 戦績10戦5勝 総獲得賞金2億9324万3000円。

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2010年6月28日のニュース