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中谷潤人“全勝決戦”で初黒星…井上尚弥に判定0―3 プロ33戦目、世界4階級制覇逃すも清々しい笑顔

[ 2026年5月2日 22:46 ]

世界スーパーバンタム級4団体タイトルマッチ   WBA、WBC、WBO1位、IBF3位・中谷潤人(M.T)<12回戦>統一王者・井上尚弥(大橋) ( 2026年5月2日    東京ドーム )

井上尚に判定で初黒星を喫し、場内に向けて手を合わせるポースを繰り返す中谷(撮影・長久保 豊)
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 プロボクシング前WBC&IBF統一世界バンタム級王者の中谷潤人(28=M・T)が世界スーパーバンタム級4団体統一王者・井上尚弥(33=大橋)に判定0―3で敗れ、日本人2人目の4団体統一王者と同男子4人目の世界4階級制覇を逃した。90年2月に統一世界ヘビー級王者マイク・タイソン(米国)が敗れた東京ドームで“世紀の番狂わせ”の再現はならず、プロ33戦目で初黒星を喫した。

 1回は互いに素早いジャブでけん制し合う展開。中谷は終盤に鋭いカウンターを見せ場内をどよめかせた。2回もリーチ差を生かして細かくジャブを打ち込み、井上尚を懐にもぐり込ませなかった。4回には井上尚の変化を加えたコンビネーションから被弾する場面もあったが、中盤は一進一退の攻防を続けた。8回には互いに攻勢を強めワンツーの応酬。ヒットこそしなかったが中谷が鋭い左フックを放ち再び場内を沸かせた。9回にも相手をロープに追い込み、ガードの上からながら強烈なラッシュを打ち込んだ。10回には相手の頭が左の眉間にバッティングし流血。ドクターチェックで一時中断となったがすぐに試合は再開された。11回からも視界が悪くなる中でも果敢に前に出て攻勢をゆるめなかった。

 最後まで決着はつかず12回が終わると両者はがっちり抱よう。試合の行方は判定に持ち込まれた。しかし結果は0―3となり、中谷はプロ33戦目で初の黒星を喫した。それでもリングを降りる際には清々しい笑顔。ファンの大歓声には何度も両手を合わせるポーズを見せて応え、リング下では立会人らから健闘をねぎらわれながら会場を引き揚げた。

 下馬評を覆すことはできなかった。昨年12月、サウジアラビアでのスーパーバンタム転向初戦は大苦戦の判定勝ち。実はオーバーワーク気味で試合に臨んでいたが、「成長できる材料をたくさんもらえた」と相手を上回る手数や、試合運びの重要性を再認識した。尚弥撃破のヒントを得て、名将ルディ・エルナンデス・トレーナーの下、ロサンゼルス合宿で“モンスター対策”を磨いたが、絶対王者には届かなかった。

 同じ32戦全勝でも、対照的なキャリアを歩んできた。井上尚は高校時代から日本代表として国際大会に出場し、高校生初の7冠を達成したアマエリート。一方、中谷はU―15全国大会を2連覇したあと、中学卒業を機に単身渡米して武者修行。4回戦から地道にキャリアを積み重ね、最近の世界王者には珍しく新人王からのし上がった。初の世界挑戦も井上尚の6戦目に対し、自身は21戦目。「歩み方が違ったというだけで、僕自身も今まで培ってきたキャリアに自信を持っている」と話していたが、井上尚の経験値は伊達ではなかった。

 かねてパウンド・フォー・パウンド(PFP=全階級を通じての最強ランク)1位を目標に掲げる。夢は一度遠のいたものの、最高の舞台で貴重な経験を積んだ。いつかリベンジするため“ビッグバン”は再び前に進む。

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