【記者悼む】力自慢の男たちが「一生従いたくなる強さ」だった猪木さん
元プロレスラーで参院議員も務めたアントニオ猪木(本名猪木寛至=いのき・かんじ、享年79)さんが1日朝、亡くなった。その衝撃から抜け切れぬまま、あるレスラーの言葉を思い出し、猪木さんを偲んでいる。
「最強は誰?」プロレスで永遠に語られるこのテーマにおいても“猪木最強説”は実在した。引退後も「ビッシビシ行くぞ!」のフレーズで名を馳せた、2010年に67歳で逝去した元プロレスラーの故星野勘太郎さんは、同い年の猪木さんに終生、さんづけの敬語で接していた。ある日、その理由を尋ねると、真剣な目つきに変わってこう説明してくれた。
「日本プロレス入門は1年遅れだったけれど、それまでの僕の人生はケンカ全勝だった。自信があったから、ある日の道場で“セメント”(ガチンコ勝負)を仕掛けたんですよ。でもね、完敗でした。猪木さんよりも体格が大きくて世界柔道銅メダリストだった坂口さん(征二)も含めて、誰一人として道場でも勝てなかった。だから団体のエースでスターだったんですよ」
昔から、レスラーの間ではリング上での成績以上に「道場マッチ」での実力が、人間関係のヒエラルキーを形成するといわれている。
「力自慢の集団の中で、一番強い男が大将になるのは自然なことでしょ。いくら会社に借金をこさえたり、みんなをトラブルに巻き込んでも、僕は一生、猪木さんに従うのみです。だって僕より強いんだもの」
自身もガチンコ最強の1人と噂されていた星野さんが、肩を上下に揺らしながら笑って話した。自己顕示とマウンティングの欲が渦巻くプロレス界で、誰も逆らえない頂点の存在であり続けられたのは、輝かしい実績やカリスマ性はもちろんのこと、そんな真の最強レスラーでもあったからだった。(瀬津 真也)
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