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浜田剛史氏 拳四朗はリスク恐れぬスタイルに変え、本来の馬力を発揮

[ 2022年3月20日 05:30 ]

WBC世界ライトフライ級タイトルマッチ12回戦   〇同級1位・寺地拳四朗 3回1分11秒KO 王者・矢吹正道● ( 2022年3月19日    京都市体育館 )

2回、矢吹正道(左)を攻める寺地拳四朗
Photo By 共同

 【浜田剛史の目】前回と違い、最初から攻めた寺地に対し、攻められた矢吹は何をしていいのか分からないように見えた。1回の最初の10秒以外は下がりっぱなしで、流れを変えないといけない3回になっても対応できなかった。矢吹の持ち味は荒々しさも含めたパンチ力。前回は相打ち覚悟の捨て身のボクシングがポイントにつながったが、王者として迎えたこの試合は相手の土俵で戦ってしまった。

 寺地は1回の出だしが全てだった。これまでのアウトボクサーではなくボクサーファイター、あるいはファイターボクサーと呼べるほどにスタイルを変えて勝負した。長期防衛中はリスクを恐れて冒険できない面もあったが、負けたら終わりの状態に追い詰められ、本来持っていた馬力を発揮した。幅を広げることができたという意味で何試合分もの価値があり、今後は予期せぬ状況になっても対応できる。満点の出来と言えるだろう。(元WBC世界スーパーライト級王者)

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