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拳四朗 KO奪冠!“不運”の陥落から半年…矢吹にリベンジ!「倒すスタイル」に変身、右で一撃

[ 2022年3月20日 05:30 ]

WBC世界ライトフライ級タイトルマッチ12回戦   〇同級1位・寺地拳四朗 3回1分11秒KO 王者・矢吹正道● ( 2022年3月19日    京都市体育館 )

3回、矢吹正道(左)からダウンを奪った寺地拳四朗。このままKOとなり、王座を奪還
Photo By 共同

 前王者で同級1位の寺地拳四朗(30=BMB)が王者・矢吹正道(29=緑)との再戦で3回KO勝ちし、王座返り咲きを果たした。昨年9月の対戦では10回TKOで敗れプロ初黒星を喫したが、わずか6カ月で戦闘スタイルを大きく変えて因縁の相手を圧倒。ボクシング人生の第2章を力強く、派手にスタートさせた。

 これがニュー拳四朗だ。立ち上がりから積極的にプレスをかけて矢吹を下がらせる。左ジャブから右ストレート、そして左ボディー。相手の反撃にもひるまず、前に出た。クライマックスは3回だ。矢吹のジャブを頬にかすらせ、返した右の一撃が左顎にヒット。大の字に倒れた矢吹に10カウントを聞かせた。

 王座返り咲き。涙が自然にあふれ出る。キャンバスに顔を埋め号泣。「あ~うれしい!あ~よかったぁ~」と声を絞り出し、息を整えると、こう続けた。

 「みんな、僕のスタイルにビックリしたでしょ?あれが新しい作戦。倒しにいくと決めていた。(トレーナーの)加藤さんを信じて、勝てると信じて戦いました」

 昨年8月下旬に新型コロナウイルスに感染し、9月のV9戦で矢吹に敗れて王座から陥落した。寺地自身は言い訳をしなかったが、関係者によると、減量期間には何度も酸素吸入が必要なほど体調はボロボロの状態だった。さらに試合では左ジャブがジャッジに評価されず、バッティングによる負傷と、不運が重なっての敗戦だった。

 一度は引退も考えたが、悔しさを抱えたままやめることはできなかった。1月にジムワークを再開すると、普段は自分の試合映像を見ない寺地が加藤健太トレーナーと一緒に映像を見直した。まず敗戦を受け入れて再出発。2人が導き出した答えが「倒すのが一番分かりやすい」だった。

 以前は右後方に置いていた重心を左前方に置くことを徹底。「踏み込まなくてもパンチが当たる距離」で戦うことを選択した。当然、相手のパンチが当たるリスクも高まるが、加藤トレーナーは「もらわないのではなく、どうもらうかを意識させた」と説明。実質2カ月でのスタイルチェンジが矢吹を戸惑わせ、会心のKO勝利を呼び込んだ。

 失ったベルトとともに自信も取り戻した。今後については「統一戦や階級を上げることも考えている」と展望を明かし「多分、今日より強くなっちゃうんで」と“予告”した。

 ◇寺地 拳四朗(てらじ・けんしろう)1992年(平4)1月6日生まれ、京都府城陽市出身の30歳。奈良朱雀高―関大。アマ74戦58勝(20KO)16敗。14年8月プロデビュー。15年12月に日本ライトフライ級王座、16年8月に東洋太平洋同級王座を獲得。17年5月、プロ10戦目でWBC世界同級王座を獲得し、8度防衛も21年9月に陥落。身長1メートル64.5、リーチ1メートル63の右ボクサーファイター。

 【拳四朗の経過】
 ▼21年7月5日 9月10日に京都市体育館でV9戦を行うと発表。
 ▼8月26日 新型コロナウイルス感染とV9戦の延期を発表。
 ▼9月6日 プロモーターの真正ジムがV9戦を22日に開催すると発表。
 ▼22日 矢吹に10回TKO負けを喫し、王座陥落。
 ▼10月5日 寺地陣営が矢吹戦でのバッティングについてJBCに意見書を提出。
 ▼10月下旬 WBCが寺地と矢吹の直接再戦を指令。
 ▼11月15日 寺地と矢吹の両陣営が22年春に再戦することで合意したと発表。
 ▼24日 都内で会見し、現役続行を表明。
 ▼22年1月24日 矢吹との再戦を発表。

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