ユーリ阿久井 “本家”ほうふつの右ストレートで追いつき追い越せ “燃えよドラゴン”からもヒント

[ 2021年12月1日 05:30 ]

日本フライ級王者のユーリ阿久井政悟

 リング名に恥じない活躍を見せている。プロボクシング日本フライ級王者のユーリ阿久井政悟(26=倉敷守安)だ。好事家なら「ユーリ」の由来が旧ソ連出身で90年代にWBC世界同級王座を9度防衛した勇利アルバチャコフ(協栄)だと反応してもらえるだろう。名王者を阿久井が称賛していたところ、守安竜也会長(68)は「勇利みたいに強い選手になってほしい」との願いを込め、協栄ジム会長の了承も得て命名。デビュー当時は「嫌だった」と振り返る本人も今は「なじんでます。本家には負けるけど、変にならなくて良かった」。今年7月のV2戦は大橋ジムのホープ、桑原拓(26)に10回TKO勝ち。世界初挑戦へ足場を固めている。端正な顔立ちに加えて、アップライトな構えから放つ、きれいな右ストレートが本家をほうふつさせる。

 桑原戦後、世界挑戦には“まだ足りないものがある”と自己分析した。「あの試合は打たせて打つ、という感じでした。当時は最善策だったかもしれないけど。“打たせないで打つ”感じにしないと」。抜群のハンドスピードを誇る桑原に対し、タイミング重視でパンチを合わせて初回からダウンを奪い、最終10回にストップ勝ち。スピード勝負以外にも、対処法があることを示した。さらに高みを目指す。

 父の一彦さん、伯父の赤沢貴之さんがともに元プロのボクシング一家。中学1年だった08年6月にテレビで見たWBC世界バンタム級王者・長谷川穂積(真正)の2回TKO勝ちに「かっこいい」と感激。サッカー少年はボクシングの魅力にハマった。既にネットで情報を得られる時代。「この人を知ってるか」「この人は凄いぞ」など父からの助言も参考に歴代名王者の映像をチェックした。当欄で列挙できないほど教材は多いが、なかでも岡山の大先輩である辰吉丈一郎(大阪帝拳)を2度下したウィラポン(タイ)の「丁寧なジャブやブロックを含めた守備」、山中慎介(帝拳)や“本家”勇利のストレートを頻繁に見た。

 最近ではもちろん井上尚弥(大橋)も対象で「パンチ力、テクニックも凄いけど、相手をよく見ていますよね」と感嘆。どんなに強烈なパンチでも当たらなければ意味がない。「格闘技だから、まず相手を見ないと。“燃えよドラゴン”を見たことありますか。ブルース・リーが指導後に弟子から頭を下げて一礼されると注意するんです。“相手から目を離すな”と。アレですよ」。映画からもヒントを得て強くなる男がユーリ阿久井だ。

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