寺地拳四朗“泥酔騒動”に2つの「なぜ?」 今後はリングで信頼回復を
なぜ?そう感じたのは自分だけではないはずだ。多くの関係者、ファンが首をひねったのではないだろうか。泥酔しての“ご乱行”を「週刊文春」に報じられたプロボクシングWBC世界ライトフライ級王者・寺地拳四朗(28=BMB)のことである。
報道を受け、寺地は26日に謝罪文を発表した。以下が全文である。
「私、寺地拳四朗は、今夏に飲酒を伴う会食後に酩酊状態となり、自宅と間違えて、他人の敷地に立ち入った上に、そこに駐車されていた車を破損してしまいました。
今月になって警察から呼び出しがあり、その時点で初めて自分が何をしたのか分かった次第です。
被害者の方には丁重にお詫びをして寛大なご配慮を頂き、示談が成立しております。
社会人として自覚に欠けた行動であり、次戦の準備をして頂いていた関係各位には、多大なるご迷惑をおかけして誠に申し訳ございません。
今回の不祥事を猛省し、自分自身を見つめ直して参ります。この度は誠に申し訳ございませんでした。」
報道を知った時、2つの「なぜ?」が頭をよぎった。一つは、なぜ、こんなことを?という素朴な疑問。これはおそらく本人も未だ分かっていないだろう。そして、もう一つは7月に騒動を起こしながら、なぜ報道される前に対応しなかったのか?という疑問だった。昨今、不祥事を起こした場合は、すぐに公表して謝罪するのがセオリー。公表を先延ばしにしたり、報道によって発覚すると、隠蔽(いんぺい)と受け取られたり、悪質とみなされるからだ。
だが、謝罪文にあるように、11月に入って警察から呼び出され、初めて事態を把握したのであれば、対応が遅れたということではないのだろう。示談交渉を優先すれば、その過程で内容を公表するのは難しかったのかもしれない。
もちろん、行為そのものは「酔っていたから」で済まされる問題ではない。非は間違いなく寺地にあり、猛省すべきなのは確かなのだが、本人サイドの「自宅と間違えて、他人の敷地に立ち入った上に、そこに駐車されていた車を破損してしまいました」という表現と、報道された記事のニュアンスがあまりに違うことには違和感を覚えた。
示談が成立し、被害届が取り下げられたのであれば、刑事罰は免れる。だが、今後は日本ボクシングコミッション(JBC)、世界ボクシング評議会(WBC)から何らかの処分を科される可能性は高い。「寛大な処置を」なんて甘いことを言うつもりはないが、記事の与えた印象が処分の重さに影響するべきではないと考えている。
関係者によると、本人の落ち込みぶりは相当なものだという。12月に計画していた8度目の防衛戦も白紙となり、今後は関係各所への“お詫び行脚”も続く。「若気の至り」で済まされる立場ではない。ボクサーの目標であり、尊敬されるべき世界王者として責任は取らなくてはいけない。不祥事の代償は大きいが、大切なのは同じ失敗を繰り返さないこと。ボクサーが失った信頼は取り戻す場所はリングしかない。寺地が再び防衛記録更新に向けて走り出すことを願っている。(記者コラム・大内 辰祐)
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