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王者・拳四朗に「大人になったなぁ~」と感じたワケ

[ 2019年7月8日 13:06 ]

ポーズをとる拳四朗(撮影・西海健太郎)
Photo By スポニチ

 大人になったなぁ~。ボクシングのWBC世界ライトフライ級王者・拳四朗(27=BMB)の公開練習を取材した際の感想である。27歳の世界王者に対して「大人になった」は失礼な表現かもしれないが、筆者は拳四朗の父、寺地永会長と同い年。つい“父親目線”で見てしまうのは、ご容赦願いたい。

 Tシャツ、短パン姿で行ったファミリーレストランで小学生と間違われた逸話を持つ童顔の王者は、日本人王者で現役最多の5度防衛を誇り、階級最強とも評価されている。ただ、これまでの取材ではボクシングよりもファッションや食べ物の話題で盛り上がることが多かった。そこには減量のつらさから一時的に逃避するという裏の理由もあったのだが、今回の公開練習ではボクシングの話に終始。テレビの生中継が決まったことを喜びつつも、以前のようにハイテンションでのリアクションではなく、写真撮影で恒例?のダブルピースも封印した。

 高校進学のために始めたボクシング。一時は本気でボートレーサー転身を考えたこともあったほど。それでも無敗のまま王者となり、防衛を重ねる中で自覚も芽生えてきたのだろう。「もっと強くならなあかんと思うし、ボクシングについて考えるようになった」と話していた。

 これまでは防衛記録を伸ばすことが一番の目標だった。今後は強敵との対戦を求める方針に舵を切る。「ただ防衛回数を増やすのではなく、強い相手に勝って評価を上げる」が父子の共通認識だ。もちろん、他団体の王者との統一戦も視野に入れている。

 12日にエディオンアリーナ大阪で行われる6度目の防衛戦ではジョナサン・タコニン(32=フィリピン)を迎え撃つ。同級1位の最強挑戦者との対戦を前に、拳四朗は「強い相手に勝って自分の強さを知ってもらえたら。他の団体のチャンピオンからも“こいつと戦いたい”と思ってもらえるような試合をしたい」と意気込む。

 当日のメインは前王者・村田諒太(33=帝拳)が現王者ロブ・ブラント(28=米国)と再戦するWBA世界ミドル級タイトルマッチ。村田の王座返り咲きなるか?日本中が注目する一戦だ。これまでも村田やWBA&IBF世界バンタム級王者・井上尚弥(26=大橋)と同じ興行で“脇役”を務めてきた拳四朗。今回は初めての地元・関西での世界戦で、約1000人の応援団が駆け付ける予定だという。“主役”にはなれなくても、その強さを存分にアピールする戦いを見せてくれることを期待している。(大内 辰祐)

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2019年7月8日のニュース