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粟生、13年目初KO負け…進退「今は何も考えられない」

[ 2015年5月3日 05:30 ]

ベルトラン(右)のパンチを受ける粟生

WBO世界ライト級王座決定戦 ●同級1位・粟生隆寛 2回1分29秒TKO 同級4位・レイムンド・ベルトラン○

(5月1日 米国・ラスベガス)
 元世界2階級制覇の粟生隆寛(31=帝拳)がキャリア13年目で初のKO負けを喫した。WBO世界ライト級4位のレイムンド・ベルトラン(33=メキシコ)と対戦し、2回に右フックでダウンを奪われると連打を浴びてTKO負け。日本選手では亀田興毅、井岡一翔に続く3階級制覇を狙ったが、ならなかった。前日計量でベルトランが体重超過になったため、王座は空位のままとなる。

 打たれ強い男が、キャンバスに沈んだ。2回、パンチを繰り出そうとモーションを取った粟生が、ベルトランに右フックで顎を打ち抜かれた。剛腕ぞろいの階級で、人生初というダウン。ぼうぜんとする中、さらに連打を浴びてプロ32戦目で初のTKO負けを喫した。「何をもらったか、その直後のことも全く覚えていない」。3階級制覇を懸けた夢はわずか4分半で散った。

 これまで減量に苦しんだが、2年半前に王座から陥落し、階級を1つ上げると2・3キロの余裕が生まれた。2月に入り、トレーナーの指示で61・2キロのリミットから5~6キロ超過の体重を維持。昨年末に所属ジムの本田会長から引退を勧告されて心を入れ替え、練習の時間帯も変えて早寝早起きで体調管理を優先した。だが「(体調が)良かったから裏目に出た。攻めてくる相手に熱くなって合わせてしまった」と好戦的な相手に自分を見失った。

 千葉・習志野高時代に史上初の高校6冠を達成し、「天才」と称された男。ベルトを失った危機感で天才は本気になり、減量の壁は乗り越えたが、階級の壁にはね返された。「負けたら次はない」と臨んだリングを降り「今は何も考えられない状態です」と言葉を絞り出した。

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