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金メダル村田も一目置く井上 最速日本王者も「まだまだ未熟者です」

[ 2013年8月25日 20:11 ]

10回、井上(右)の右フックが田口の顔面にヒットする

プロボクシング 日本ライトフライ級タイトルマッチ10回戦 井上尚弥 3―0判定 王者・田口良一

(8月25日 神奈川県座間市民体育館)
 「怪物」の異名にふさわしい戦いぶりだった。挑戦者の井上は序盤から王者・田口を終始スピードと手数で圧倒。98―92、98―93、97―94と最大6ポイント差をつけての3―0判定勝ちで、王座奪取に成功した。プロ4戦目での日本王座戴冠は辰吉丈一郎(大阪帝拳)らに並ぶ最速タイ記録だった。

 新王者の井上は「うれしいですけど。まだまだ未熟者です。王者の意志が凄くてまとめきれなかった。全然、自分のボクシングじゃなかった」と控えめに喜びを口にした。

 ダウンを奪えずプロ4戦目で初めて判定決着となったが、能力の高さは存分に見せつけた。

 アマチュア時代に史上初の高校7冠を達成。アマ仕込みの高い技術と勝負どころで畳みかける冷静な戦いぶりはプロでも輝きを放つ。アマ時代に日本代表合宿などでともに汗を流した7歳年上の村田諒太も「あいつは化け物」と一目置く、完成された戦いぶりには当然、「次は世界」の声が上がる。

 世界王座奪取の日本選手最速は井岡一翔(井岡)が持つ7戦目。それでも新王者は「課題ばかりです」と慎重な姿勢を崩さない。

 早熟の天才とすら思わせる20歳はしっかりと自身の進むべき道を見据えている。

 ▽井上尚弥の父、真吾トレーナーの話 気持ちにむらがあった。もう少し集中していれば、もっといいボクシングができた。課題が出たので、次につなげやすくなった。

 ▽大橋秀行・大橋ジム会長の話 スパーリングで悪い時の尚弥が(試合で)出た。とはいえ世界ランク3位の相手なので、普通は合格ライン。将来のためのいい経験になった。

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