我が道_山本浩二

【我が道】山本浩二㉚ カープと新たな勝負に挑む友へ

[ 2022年7月11日 12:30 ]

トークショーでドラフトの思い出を語る(左から)星野仙一氏、筆者、田淵幸一氏
Photo By 提供写真

 このたび日本球界最高の賞である正力松太郎賞の選考委員を拝命した。先日亡くなられた大沢啓二親分の代わりである。

 王貞治さん(ソフトバンク球団会長)を委員長とし、杉下茂さん、中西太さん、田口雅雄さん(野球ジャーナリスト)の諸先輩方で構成する選考委員会。64歳の私はもちろん最年少となる。

 親睦団体の日本プロ野球名球会では今年、王さんの会長就任に伴って1968年(昭43)ドラフト同期生の山田久志、東尾修とともに副会長に就いた。

 2008年には野球殿堂に入れていただいた。身に余る光栄。すべては選手として18年、監督としてのべ10年、広島東洋カープひと筋のプロ野球人生を送らせてもらったおかげである。

 マツダ創業者一族の松田家、恒次(つねじ)、耕平、元(はじめ)の歴代3オーナーにあらためて感謝したい。

 今年は5位に終わったカープ。私が監督だった91年以来19年も優勝していない。セ・リーグでは最も優勝から遠ざかっている。

 93年に導入されたFA制度。94年に川口和久(現巨人投手総合コーチ)が巨人に行ったのを皮切りに、99年に江藤智(現巨人打撃コーチ)が巨人、02年には金本知憲が阪神へ。さらに07年には新井貴浩が阪神、黒田博樹がドジャース、08年には高橋建がブルージェイズへ去った。

 FAで獲得した選手は一人もいない。制度がある以上、仕方がないとはいえ、主力選手が次から次へと抜けていくばかりでは優勝争いもままならない。

 現在の監督、野村謙二郎は私の監督就任直後、88年ドラフトでいの一番に指名した選手だ。猛練習で鍛え上げ、立派なチームリーダーに成長。今はチーム強化に心血を注いでいる。

 今季はコルビー・ルイスが退団した上に大竹寛が故障で離脱。ルイスはレンジャーズ入りしてチーム初のア・リーグ優勝に貢献し、ワールドシリーズでも第3戦先発が予定されている。

 投手3冠に輝いた前田健太の成長はあったものの投手力強化が急務。28日のドラフト会議では早稲田大学の福井優也をはじめ4位まで大学、社会人の即戦力投手を指名した。彼らをいかに育てて戦力にするか。

 ドラフト会場にはセン(星野仙一)の姿もあった。楽天の監督に就任。ブチ(田淵幸一)を連れて新天地で新たな勝負に挑もうとしている。その意欲。大学時代からの仲間としてうれしく思う。

 日本代表のユニホームを着て一緒に闘った08年の北京五輪。守備走塁コーチとして最善の努力をしたつもりだが、4位という結果がすべてである。国民の期待を裏切った無念の思い。杜の都を、プロ野球界を盛り上げて晴らしてもらいたい。

 愛するカープとともに、悪友たちの健闘を祈る。 (おわり)

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