田淵幸一氏 ソフトバンク山川穂高が引っ張る悪癖を解消 阪神は「眠れる主砲」を目覚めさせた

[ 2025年10月27日 05:30 ]

SMBC日本シリーズ2025 第2戦   ソフトバンク10―1阪神 ( 2025年10月26日    みずほペイペイD )

<ソ・神>初回、山川は勝ち越しの2点二塁打を放つ(投手・デュプランティエ)(撮影・椎名 航)
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 【田淵幸一 日本シリーズ大分析】阪神が先勝して迎えた第2戦は、ソフトバンクが大勝して1勝1敗のタイに戻した。本紙評論家の田淵幸一氏(79)は、初回に勝ち越しの2点二塁打を放った山川の打撃をクローズアップ。不振の要因である強引に引っ張る悪癖が解消されつつあるとし、対照的に阪神投手陣は「眠れる主砲」を目覚めさせたと指摘した。(構成・鈴木 勝巳)

 阪神投手陣は、調子に乗せてはいけない打者に打たれてしまった。勝ち越しの2点二塁打に3ラン。2戦目で初スタメンのソフトバンク・山川が序盤の大量得点を呼んだ。

 初回に同点に追いつき、なお2死一、二塁。外角高めの直球を逆らわずに右中間へと打ち返した。山川の悪癖ともいえるのが強引な打撃。この打席も無理に引っ張っていたら遊撃や三塁への内野ゴロだっただろう。責任感とともにどうしても力んでしまう4番ではなく、より気楽に打てる6番という打順も奏功したのだと思う。

 好調さの予兆ともいえる打席が前日にあった。山川は1点を追う8回2死二塁で代打で登場。マウンド上は中継ぎエースの石井で、一塁が空いている場面。相手バッテリーは無理に勝負をせず、くさいコースを突いてくるはず。山川はカウント1―1から外角低めに3球続いたスライダーの「誘い」に乗らず、きっちりと四球を選んだ。強引にいかない、はこの日の打撃にもつながるキーワード。そして2回には豪快な一発を放ち、本来の破壊力も見せつけた。

 同様に周東も勢いに乗った。日本シリーズ新の5安打。うち4本が中堅から左方向で、山川と同様に強引にいかない、理にかなった打撃が光った。柳田との1、2番で計8安打。1、2番といえば阪神の近本、中野のコンビが注目されていたが、この2人も阪神にとっては脅威だろう。

 山川、周東だけでなく、2試合を終えて打者の好不調も見えてきた。阪神で心配なのは大山。前日から8打数無安打で、阪神自慢の1~5番の中で唯一ノーヒットに終わっている。好調な森下、佐藤輝の後を打つ5番打者。その奮起は必要不可欠といえる。

 ≪爆発を呼んだ柳町の四球≫ 山川の爆発を呼び込んだのが3番・柳町の四球だ。初回無死一、二塁。初球にバントを試みるも外角のストライクを見逃した。これで二塁走者の柳田が塁を大きく飛び出してアウトに。二塁からは投球のコースがよく見え、バットに当たる前にバントをすると思い込んだ柳田の走塁ミス。ただ、ストライクならバントは定石で、打席の柳町も「しまった」と思ったはずだ。

 それでも、そこから切り替えて最後は外角ギリギリのカーブを見極めて四球を選んだ。これを振らないのか、という見事な選球眼。これで後続につなぎ、2死から栗原が低めの難しいカーブを捉えた。結果はファウルだったが初球のカーブをしっかりとスイングしたことで、軌道が脳裏に残っていた。続く山川の勝ち越し打で計3得点。仮に無得点で終わっていれば、その後の試合展開も大きく変わっただろう。

 柳町は2回2死三塁でも四球を選んで計3四球。2試合で6打数1安打ながら自身の役割を熟知している。今季62四球はリーグ最多。出塁率.384でタイトルに輝いた男の面目躍如だった。

 ≪阪神デュプランティエは1軍登板のブランクが響いた≫ 阪神先発・デュプランティエは立ち上がりからボールが高めに浮き、案の定ベルト付近の甘い球を痛打された。下肢のコンディション不良で約2カ月半ぶりの実戦が、日本シリーズという大事な舞台。ただ、首脳陣は助っ人右腕の状態を見極めて、根拠を持って登板させたはず。結果は吉と出なかった、と切り替えるしかない。ただ、第2戦の先発投手は第7戦までもつれれば中6日で起用できるが、デュプランティエは短期決戦ではもう使えないだろう。

 シーズン中にもあまりない負け方を喫して、敵地での2試合を1勝1敗。ただ、慌てる必要はない。本拠地では前日のように、シーズンと同じく「守り勝つ」戦い方をすることに注力してほしい。私が西武での現役時代、当時の広岡達朗監督は「日本シリーズは4つ勝てばいい。3つは負けられるんだ」と強調していた。黄金時代の西武の思考は、今ももちろん生きる。先発では才木、高橋、大竹らが万全の状態で控える。第3戦以降が本当の勝負になると思う。

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