飛躍のシーズンを送るソフトバンク・大関友久 目指す“投げるアーティスト”としての領域

[ 2025年9月18日 07:30 ]

ソフトバンク・大関
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 今季、ソフトバンクで大きな飛躍を遂げたのが大関友久投手(27)だ。18日の日本ハム戦(みずほペイペイドーム)で今季23試合目の先発を迎えるが、すでに投球回は137回2/3。初の規定投球回(143回)クリアも目前。12勝5敗、リーグ3位の防御率1・70の好成績をマークしている。

 野球に対してとことん向き合い、没頭し、突き詰めて考えるタイプ。イニング間、熱心にノートにメモをとる姿はおなじみにもなってきた。スポーツ心理学の分野を徹底的に追求していることが好パフォーマンスにつながっており、自らの考える概念である“魂の投球”を理想に掲げ追求している。

 取材に対しても常に謙虚でいて真剣に向き合ってくれる。その野球への姿勢から思い浮かんだ「投げる求道者」というフレーズを本人に伝えると、感謝を口にしつつ思案顔を浮かべ、こう率直に応えてくれた。

 「個人的には、そういう言葉で表すとすれば“投げるアーティスト”になりたいと思って取り組んでいます。“魂の投球”も僕の中ではアート的な要素なので」

  今やデータ野球が全盛で「数字」を中心に語られる。ただ、現状の数字だけでは、うまく表現できないものが存在するのも確か。広義で「アート」とは人為的技術により表現されるものを指すが、このような「数字だけでは表せない価値があるもの」が大関の言う「アート」の例だ。

 「ご本人から聞いたわけではないですが…」と挙げたのはイチロー氏の“意図的に詰まらせてヒットにする技術”だった。イチロー氏も引退会見で口にしていたが、数字上は芯で捉えた中直のほうが評価を得る。評価基準であるハードヒット(打球速度95マイル=約153キロ以上)からは程遠いし、投手からすれば“運が悪い”と感じる当たり。とはいえ、言うまでもなく結果としては打者の勝ちでしかない。

 大関も数字が表すような“サイエンス”の領域が重要であることは理解している。かねて「スポーツの世界はサイエンスがメーン」と考えて徹底追求してきた。その上で、それだけではないことに気付いたという。「“心技体”の“心”の部分である“考え方”が“技術”に密接につながっていると感じた。サイエンスではなくアート的な側面があるなと気付いた」と話す。

 一時に比べて球速が出ているわけではない中で、相手打者はタイミングが取りにくく、いわゆる「球の出どころが見えにくいフォーム」との表現がされる。その投球フォームも“ため”“定め”“引っ張り”という自らの「科学的ではなくて感覚の世界」を大切にして作り上げているものだ。

 現在地については「まだまだですね」と話すが、注力しているスポーツ心理学も生かし、将来的には「“魂の投球”というアートを投球の中でする自分になりたい」と思い描く。「見ている人に楽しんでもらい心を動かすことにもつながってほしいと思ってます」。日々、さらなる高みを目指して取り組んでいる。(記者コラム・木下 大一)

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