【内田雅也の追球】4番を取り巻く打線

[ 2025年8月11日 08:00 ]

セ・リーグ   阪神5―2ヤクルト ( 2025年8月10日    京セラD )

<神・ヤ>初回、中野は二盗を決める(撮影・北條 貴史)
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 6回表に才木浩人がソロ本塁打を浴び、3―1となった直後、その裏の追加点は大きかった。

 先頭打者として安打で出た中野拓夢が足で揺さぶった結果とみている。次打者・森下翔太の4球目に走った。森下は打って右飛だった。1死一塁で佐藤輝明。投手は3番手の左腕・石原勇輝。中野はしつこくけん制球を受けた。通算5球目で中野は飛び出し、挟撃されたが、そのまま二塁に走り、一塁手ホセ・オスナの悪送球で生きた。送球が乱れていなくても間一髪のタイミングだった。

 二塁に向かっていたので、記録上「盗塁死」と「失策」がつく珍しい形だったが、1死二塁とした。中野の足が相手ミスを誘ったわけである。

 佐藤輝は二ゴロ進塁打で2死三塁とし、大山悠輔が左翼線二塁打して貴重な1点を刻んだ。

 中野は1回表にも安打で出て二盗を決め、先制の本塁を踏んでいる。

 2死一塁、打者・佐藤輝の1ボール―1ストライクから二盗を決めた。投球はストライクで1―2と追い込まれたが、得点圏に走者が進んだことで、一発狙いから適時打狙いに切り替えられたのだろう。一塁線突破の二塁打を放った佐藤輝は「ムーさん(中野)が二塁まで進んでくれたのも大きかったです」とコメントを残していた。

 また二盗を決めた投手は奥川恭伸だった。前回対戦時も書いたが、今季の阪神は奥川の癖を盗んでいるのかもしれない。

 3回裏2死での次打席で31号ソロ本塁打、5回裏先頭では3点目の口火を切る安打を放つなど、佐藤輝の存在感は極めて大きい。この4番を生かしているのは前後を打つ打者の働きである。

 前が2番・中野の足ならば、後は5番・大山の打撃である。

 5回裏は佐藤輝安打の無死一塁から大山が右方向への進塁打も意識した打法で中堅右への単打を連ねた。佐藤輝もよく走って三塁を奪った。この好打と好走が相まって、3点目は生まれた。

 8回裏は佐藤輝二塁打の無死二塁。大山は明らかに右方向を意識したスイングで一ゴロを転がし走者を進めた。1死三塁で相手内野は前進守備で安打ゾーンが広がった。だから高寺望夢が放った二遊間のゴロは今季自身初となる適時打となって中前に抜けたのだ。

 4番を中心に周囲が機能していく。阪神は理想的な打線になろうとしていた。 =敬称略=
 (編集委員)

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