記者が明かす阪神・高橋遥人復帰の舞台裏 筋力アップに“全振り”「球速が出ている人は…」

[ 2025年7月28日 05:15 ]

セ・リーグ   阪神7―1DeNA ( 2025年7月27日    甲子園 )

<神・D>帽子を飛ばしながら力投する高橋(撮影・大森 寛明)
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 力強い投球とともに背番号29が帰ってきた。阪神・高橋遥人投手(29)が27日、DeNA戦で5回2/3を6安打1失点。昨年9月13日の広島戦以来、317日ぶりの白星を挙げた。23年6月の左手首手術の際に残ったプレートを、昨年11月に除去。通算5度目の手術からの復帰の舞台裏に、本紙の阪神担当・遠藤礼記者が迫った。2連勝で今季最多の貯金20としたチームは、最短であす29日に優勝マジック41が初点灯する。 

 マメがつぶれた高橋の両手の皮膚は分厚くなっていた。1軍昇格の数日前。「普通は右にしかできないですけど、こっち(左手)は全部ウエート(トレーニング)でできました」と、手のひらを見せてくれた。

 復活の時を見据えて取り組んだのは肉体改造だ。昨年11月に「左尺骨短縮術後に対する骨内異物除去術」を行って左手首に埋まっていたプレートを除去。今春キャンプでブルペン投球を再開も、そこから一進一退の状態が続いた。「2月投げて、3月投げて、4月投げて全然ダメで…。やっぱりはね返されて」。腕を振っても翌朝には手首がパンパンに腫れ上がる。「痛みはないけど強く投げられない。強く投げるとボールが抜けて飛んでいっちゃって投げ方もハチャメチャになって」。その時点で、手術から約半年がたっていた。

 「プレートが入っていた方が投げられたかも」。屋外でのキャッチボールの時間を自然と短くしてしまう自分がいた。「“投げられない”という感情に振り回されないように短くしていた」。その分、時間を割いたのがウエートトレだった。

 「屋外でのことを忘れる感じで」。最初はそんな動機でも本格的に取り組んでこなかった筋力アップに“全振り”したのには、確かな理由があった。

 「球速。球速が出ている人は体が大きい人と足が速い人。走ることはもうやっていたので、次はウエート。“こいつ手術して速くなって帰ってきたやん”って思われたらちょっと面白いなと。後はウエートしたらどうなってたんだろうと、辞めた時に後悔するのも嫌だなと」。3月にテレビで見たMLB2球団と阪神のエキシビションマッチもきっかけになった。「単純に体が大きい人は球が速い。メジャー同士の試合では思わなかったけど、日本人に投げているのを見て感じて。あれはちょっと刺激になった」

 数カ月、筋力アップに没頭すると2、3回がやっとだった懸垂も10回を超えるようになった。「YouTubeでウエートの動画を見てました」。小麦製品を控えるなど食生活も改善。大好きなラーメンは今年2月から「1杯しか食べてないっす」と胸を張った。

 復帰登板となった6月18日の2軍戦では自己最速にあと1キロに迫る151キロを計測。筋トレ効果を実感できた。“シン・遥人”を披露したのは2日の2軍ソフトバンク戦。代名詞のツーシームの状態が「最悪」だった中で「助けてもらった」と直球主体の投球で5回無失点にまとめた。

 「もう手術は最後にしたい」と胸に刻み臨んだプロ8年目。317日ぶりの白星がその決意の表れだろう。「復活」は、いつも1つの勝利から始まる。

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