【筑後鷹】育成から再出発した田上奏大「もう元気です」ランゲルハンス細胞組織球症は寛解

[ 2025年5月20日 06:00 ]

キャッチボールするソフトバンクの田上
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 今季から育成選手として再出発したソフトバンクの田上奏大投手(22)が復活ロードを歩んでいる。昨年10月に成人では100万人に1人の病気ともいわれる「ランゲルハンス細胞組織球症」を公表。既に寛解し、3軍で腕を振っている。当時の心境を振り返りながら、再起への熱い思いを語った。

 背番号は再び3桁になった。それでも田上は野球ができる喜びを全身で感じながら、前向きに取り組んでいる。「しんどかったですけど、もう元気です。本当に周りの人たちのおかげで頑張れています」と快活に語った。

 大阪・履正社からドラフト5位で入団した1年目の21年オフに支配下から育成契約になった。それでもスケールの大きさは高く評価され、小久保監督が2軍を率いていた22年にウエスタン・リーグの開幕投手を任され、5回無失点で勝利投手になった。同年の4月に支配下に返り咲き、1軍でも2試合に先発した。23年も2年連続で2軍の開幕投手を務めて、ホープとして注目されていた。

 アクシデントに見舞われたのは昨年2月の春季キャンプ。自主トレの時から感じていた背中の張りが強くなった。MRI検査を受けると「背骨が溶けている」と医師から伝えられた。「野球はもうできひんのか…」と当時の心境を振り返る。病院で複数回の検査を行い、成人では100万人に1人の病気ともいわれる「ランゲルハンス細胞組織球症」と診断された。免疫系の希少疾患の一つで背中の骨が溶けて疲労骨折を起こしていた。

 保存療法を選択し、家族や友人の支えもあり3カ月ほど療養して寛解した。復帰登板した昨年10月に病気を公表。同じ病気で苦しむ人やファンからSNSや手紙で激励のメッセージが届き、背中を押された。自分はできると奮い立った。「もう一回投げる姿を見せたるねん」と強い気持ちが芽生えた。

 今季は4月下旬から3軍で先発での調整を続けている。今月8日の四国・愛媛戦(今治)では4回5失点。被安打は2も9四球と制球に苦しんだ。制球面が課題で「僕の持ち味の強い真っすぐの精度ですね。突き詰めたらチャンスはある」と考えている。投球のバランスを意識して練習から取り組み、実戦で148キロを記録するなど球速は出てきた。斉藤3軍監督は「出力はだいぶ上がってきた」とした上で「2年連続で2軍の開幕投手を務めたポテンシャルは持っているんだから。ただ現状はそこまでいっていない」と分析。まだまだ上積みできると期待している。

 大きな病気を乗り越えて復活を期すシーズン。「やっと戦えそうなものが出てきた。ここからや!って思っています」。再び2桁の背番号のユニホームに袖を通すことが、支えてくれた人たちへの恩返しになると信じている。 (杉浦 友樹)

 H…田上にとって頼もしい仲間ができた。履正社で同級生だったドラフト6位のルーキー右腕、岩崎(東洋大)だ。高校では19年夏の甲子園でともにベンチ入りして日本一になった。再び同じユニホームを着ることになり「本当にびっくりしたけどうれしい」と笑みを浮かべる。選手寮では就寝時間のギリギリまで岩崎が部屋にいるという。「おかげで寂しくない。ありがたいです」と感謝していた。

 ◇田上 奏大(たのうえ・そうた)2002年(平14)11月26日生まれ、大阪府出身の22歳。履正社では19年春夏の甲子園に出場。20年ドラフト5位でソフトバンクに入団。趣味はゴルフ。球団OBの田上秀則氏はおじにあたる。1メートル86、90キロ。右投げ左打ち。

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