【内田雅也の追球】「三塁線」に見た光明

[ 2025年5月18日 08:00 ]

セ・リーグ   阪神5―2広島 ( 2025年5月17日    甲子園 )

<神・広>2回、大山は左翼線を破る二塁打を放つ(撮影・北條 貴史)
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 阪神・大山悠輔の打撃の好調さを示す打球が三塁線への痛打だとみている。逆に押っつけるように中堅から右へ弱い打球が飛ぶ時は不調のしるしである。

 勝手な見方だが、長い間、野球記者として見てきた大型右打者の傾向である。問題は内角球への対応である。胸元やひざ元を攻められ、詰まって左方向のゴロが増える。

 金本知憲が監督に就いた2015年オフ、打点王を獲った前年より成績を下げた4番のマウロ・ゴメスについて「三塁線を抜く二塁打やファウルが減った」と語っていた。「内角攻めに詰まってボテボテというのが目立った。ステップ幅をうまく調整すれば対応できる」。金本はよく「三塁ベース目がけて振り抜け」と命じていた。

 今季の、特に最近の大山も同じだった。前夜の左前打まで9年目で自己ワーストの21打席連続無安打だった。この間、三塁または遊撃への凡ゴロが7本あった。一方、三振はゼロで、反対方向への凡飛が5本あった。

 新井貴浩(現広島監督)が阪神にいたころを思いだす。打撃不調時、空振りを恐れ、押っつけたり、詰まったりしていた。「三塁線のファウルがない」と当欄で書いたのを覚えている。

 そんな大山に、見る側からすれば“待望の”三塁線二塁打が出た。しかも2本も出た。前日まで使っていた「魚雷バット」をやめていた。試行錯誤の苦悩が見える。

 先発の左腕・床田寛樹に対し、2回裏、内角直球をライナーで三塁線を突破、左翼フェンスに達する二塁打を放った。

 5回裏1死二、三塁では2ボール2ストライクから内角ツーシームを引っ張り、三塁線を強襲する2点二塁打となった。打点は今月3日のヤクルト戦(甲子園)以来10試合ぶり。その適時打も奥川恭伸の内角シュートを引っ張った三塁線突破の二塁打だった。やはり「三塁線」は大山の打撃のバロメーターなのだ。

 最初の二塁打は初球だった。この積極性は打線全体にも波及した。前夜の貧打を矢野燿大が本紙評論で「第1ストライクを33人中20人が見送っていた」と消極性を指摘していた。この日は39人中24人が打ちに出ていた。第1ストライクを打ちに出た割合は39%から62%に上がっていた。

 岡田彰布(現球団顧問)は「右打者の一番いい打球は三塁線」が持論だった。大山の打撃に光明が見えた。 =敬称略=
 (編集委員)

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