【内田雅也の追球】「長駆」連発で見せた機動力 走る阪神が確実に成果を上げている

[ 2025年3月19日 08:00 ]

オープン戦   阪神5ー5ヤクルト ( 2025年3月18日    神宮 )

5回、二盗を決める中野
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 「長駆(ちょうく)」は三国志に出てくる「長駆直入」が語源だと言われる。長い距離を一気に駆け抜け、敵陣に攻め入ることをいう。

 野球では一塁走者が一気に本塁生還した時に使う。三塁打同様、十数秒かかる、野球で最も長い時間を要する連続プレーである。スリリングなプレーである。

 阪神はこの長駆で連続得点をあげた。0―3の3回表2死一塁、打者・佐藤輝明のカウント2ボール―2ストライクから一塁走者・中野拓夢がスタート。佐藤輝の一打は右中間に落ちる中前単打となった。中野は二塁、三塁を蹴り、一気に本塁を陥れたのだ。

 スタートしていたとはいえ、2死とはいえ、打球が高く跳ねたとはいえ、快足を生かした好走塁だった。

 続く2死一塁で一塁走者・佐藤輝は初球にスタート。森下翔太が中堅右をライナーで破り(二塁打)、佐藤輝が本塁まで還ってきた。珍しい長駆生還の連発だった。

 「そう言えば、そうですね」と外野守備走塁チーフコーチ・筒井壮は言った。「でも、だからどうだ、ということはありません。まだシーズンも始まってもいませんし」

 素っ気なく聞こえるが選手たちの好走はたたえている。「ただ、走る走らないだけでなく、偽走スタートとか、今はできることをやっています」

 確かに、走者はよく動き、相手バッテリーを揺さぶっていた。近本光司の暴投三進(7回表)や島田海吏の二盗(9回表)もあった。

 中野、佐藤輝がスタートを切ったのは恐らく盗塁だろう。筒井は当然ながら「そんな作戦のことを言うわけありません」と否定しなかった。

 走った投手が奥川恭伸だったのも少なからず驚いた。まだ若い奥川だが星稜高から入団当初からクイックモーションが速い。投球タイムは平均1秒1台である。走りづらい投手で、昨季は登板7試合で相手の盗塁企図は3度しかなかった。

 それでも阪神は走った。5回表には中野が二盗も決めている。何か走れる「根拠」でもあったのか。いや、開幕前に他球団に「今年は走る」と印象づけたかったのか。

 15、16日の大リーグとの対戦でもよく走り、カブス、ドジャースから賛辞を受けていた。いい自信になったのだろう。「いい試合でしたか?」と逆質問する筒井の顔は笑っていた。 =敬称略=
 (編集委員)

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