カブス継投ノーノー達成!今永 7回ノーノーで12勝 無安打「知らなかった」95球降板に納得

[ 2024年9月6日 01:30 ]

ナ・リーグ   カブス12―0パイレーツ ( 2024年9月4日    シカゴ )

パイレーツ戦に先発して7回まで無安打無失点で投げ終え、声を上げるカブス・今永
Photo By ゲッティ=共同

 カブスの今永昇太投手(31)が4日(日本時間5日)、パイレーツ戦に先発して7回を無安打無失点。2四球3失策の走者だけで95球で降板し、3投手による継投でのノーヒットノーランを達成した。本拠地リグリー・フィールドでは実に52年ぶりの快挙。DeNA時代の22年に続いて史上初の日米ノーヒッターの可能性もあったが、チームの勝利のためにエゴは捨て、自身12勝目でカ軍の連敗を2で止めた。 

 7回を投げ終えてベンチに戻った時だ。今永のもとに、なにやら深刻な表情でクレイグ・カウンセル監督が歩み寄ってきた。

 「いつもは笑顔なのに。何を言われるんだろう」。いぶかしんだ左腕に伝えられたのは、この回限りでの降板。同時に「まだ無安打だけど…」と言われ、思わず「えーっ?」と驚いた。初回の三塁内野安打が失策に変更されたのに気づかず「言われるまで知らなかった。思わず声を出してしまった」と笑った。

 「今年1年間、健康な状態でシーズンを過ごすのが大事。監督には“次の試合もその次の試合も、いい状態を保ってもらいたい”と言われた。僕も全く同じ考えだったので」

 7回まで無安打無失点。本人に快挙の自覚はまるでなかったが、DeNA時代の22年6月7日の日本ハム戦で達成しているのと合わせて史上初の「日米ノーヒッター」の可能性があった。しかし「投げる哲学者」はやはり思慮深い。個人の記録よりも、チームの勝利。95球と余力を残しての降板も「救援投手が足りないとかなら行くと言うけど、記録のためのエゴはない」ときっぱりと言い切った。

 高めの威力満点の直球、鋭く落ちるチェンジアップの高低でパ軍打線を制圧。6回には三塁手の2失策で2死一、二塁となるも4番クルーズを空振り三振だ。8回はピアソン、9回はホッジが安打を許さず、球団史上3年ぶり2度目の継投でのノーヒットノーランを達成。8回に今永がマウンドに上がらなかった際はブーイングをした本拠地のファンも、快挙達成に最後は大熱狂だ。試合後「メジャーで何番目の出来事?」と聞かれた左腕は「ええと…。3位ぐらい」とニヤリ。クラブハウスもお祭り騒ぎで「日本以上にチームメート全員が盛り上がる。みんなに祝福してもらった」。記念球は3人のサインを入れて米野球殿堂に寄贈される。

 自身3連勝で、防御率は再び2点台でリーグ4位の2・99。規定投球回にも8回2/3と迫ったがシーズンはまだ終わらない。連敗を2で止めてワイルドカード(WC)圏には4・5ゲーム差。次回登板ではドジャース・大谷と2度目の対戦が待つ。勢いそのままに残り22試合を駆け抜ける。

 ▼カブス クレイグ・カウンセル監督(今永の無安打での交代に)ああいう状況はいつも難しい。100%、昇太のことを思って、彼のために正しいことを考えた。彼は無安打だったことを全く知らなかった。面白いね。

 ≪カブスの継投ノーノーは3年ぶり2度目≫カブスが今永ら3投手の継投でノーヒットノーラン。球団の「継投ノーノー」は21年6月24日ドジャース戦で4投手で達成して以来、2度目。継投以外も含めると18度目(メジャー3位)の無安打無得点試合となった。本拠地リグリー・フィールドでは72年9月2日パドレス戦以来52年ぶり。なお、今回のケースは日本では「継投によるノーヒットノーラン」に分類されるが、メジャーでは1人でも継投でも同じように扱われる。日本投手のノーヒットノーランは野茂英雄がド軍時代の96年9月17日ロッキーズ戦、レッドソックス時代の01年4月4日オリオールズ戦で2度、マリナーズ・岩隈久志が15年8月12日オ軍戦で達成。継投でのノーヒットノーランに加わったのは今永が日本投手初となった。

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