【スポニチスカウト部(16)】佼成学園・林 一級品のカーブ 光る原石

[ 2023年5月23日 06:00 ]

プロのスカウトから注目を集める佼成学園・林(撮影・柳内 遼平)
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 今秋のドラフト候補となる選手にスポットを当てる「スポニチスカウト部」。アマチュア担当記者の独自目線による能力分析とともに、選手たちの素顔を紹介する。第16回は佼成学園(東京)の最速144キロ右腕・林晃大(こうた)投手(3年)。1メートル86の長身右腕は全国的に無名ながら、プロ球団のスカウトをはじめ、大学球界からも熱視線を送られている。 ドラフト速報

 無名の逸材が腕を磨いている。佼成学園のエース右腕・林は、高校から投手に専念したダイヤの原石。1メートル86の長身から投げ下ろす直球は最速144キロで、鋭く落ちるスプリット、簡単にストライクを奪えるカーブも一級品だ。東海大菅生、日大三など強豪がそろう西東京で、最後の夏に自身初の甲子園出場を目指す。

 「甲子園で投げることは幼い頃からの夢。夏が高校生で最後のチャンスになるので目標にしています」

 大阪出身の林にとって野球イコール甲子園。そして阪神だった。幼少期から聖地で声援を送った熱烈な阪神ファンは、藤川球児に憧れた。本家と同じく直球を武器にする右腕は「大声援の中で投げる姿に憧れた。藤川さんのストレートが一番凄い。そこを目指しています」と球速以上に威力を発揮する理想の直球を追い求めている。

 中学までは遊撃手が本職で高校から本格的に投手転向。入学投手、120キロ台だった直球は投手としての体づくりに励んだ結果、140キロ台を計測するまでになった。急成長した右腕にソフトバンク・宮田善久関東統括スカウトは「体も大きくて魅力的。真っすぐに近い腕の振りからカーブを投げることができるので打者はタイミングがズレる。本物のカーブを投げられる投手はなかなかいない。将来が楽しみ」と素材の良さを高く評価した。

 甲子園出場を果たすため越えなければならない「壁」がある。昨秋の東京都大会3回戦で東海大菅生に1―5で敗戦。今春選抜でも活躍した相手先発の最速150キロ右腕・日当直喜(3年)に、1失点(自責は0)完投を許した。今秋ドラフト上位候補の投球を間近で目に焼き付けた林は「エースはああいう投球ができないといけない。ライバルとして意識しているし、早く近づかないといけない」。最後の夏に雪辱を果たせば、憧れの聖地が近づく。(柳内 遼平)

 ≪藤田監督の育成方針「直球の質にこだわる」≫立大で助監督、社会人野球のリクルートでは指揮を執った経験を持つ藤田直毅監督。林について「対打者の結果ではなく、直球の質にこだわってもらいたい」と大きく育てる方針だ。1メートル80、67キロの細身で入学した当初は「力はなかったが角度もあるし体ができてくれば面白い」と期待した。予想通りの成長曲線を描き、現在はチームの柱に。自覚が芽生えた昨冬からは自主練習の量を増やすなど野球に向き合う姿勢も変わり「マウンドさばきも堂々としてきた」と語る。集大成の夏に向けて「勝利をたぐり寄せる投手になってほしい」と話した。

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