史上初の五輪延期決定的 IOCが4週間以内に結論 森会長「我々は2020という方向」

[ 2020年3月24日 05:30 ]

記者会見で厳しい表情を見せる2020年東京五輪・パラリンピック組織委員会の森喜朗会長
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 7月24日開幕予定の東京五輪の延期が決定的となった。新型コロナウイルスの世界的な感染拡大を受け、国際オリンピック委員会(IOC)は22日に臨時理事会を開き、開催延期を含めて日本側と検討に入り、4週間以内に結論を出す新方針を打ち出した。大会組織委員会の森喜朗会長や安倍晋三首相も延期を容認する考えを示したが、延期時期の見通しは示されず、会場や日程の調整を最優先に検討することになった。 

 IOCは日本時間22日夜に森会長ら組織委と急きょ電話会議を行い、東京五輪の新型コロナウイルスへの対応について意見交換を実施。(1)中止は議論しない(2)日本とIOCの双方から代表者を出して協議する(3)延期の議論は避けられない(4)4週間以内にシナリオをつくる、などで合意し、直後に開いた臨時理事会でも承認を得て開催延期を含めた検討に入ることを発表した。

 17日の臨時理事会で予定どおりの開催を確認したばかりだったが、各国オリンピック委員会(NOC)、各国際・国内競技団体(IF、NF)、選手など世界中で高まる延期論に、わずか5日で方針転換せざるを得なかった。

 IOCの新方針を受け、安倍首相は23日に「今現在、五輪が開けるかと言ったら世界はそんな状態ではないと思う」と見解を示し、IOCのバッハ会長に自身の意見を伝える意向を表明。組織委員会の森会長も都内で会見し「国際状況は変化している。いろんな声があるのに、最初の通りにやるんだと言うほど愚かではない」と開催見直しを示唆した。

 延期した場合の開催時期についてIOCは言及しておらず、今後の日本側との協議で可能な期間を探ることになる。森会長は「我々は2020という方向でいる。今の段階ではそう申し上げるだけ」と年内希望とも取れるコメントを口にしながらも「全ての競技場が空いているか、借りられるかが一番大事な問題。あえて次に大事な問題と言われたら、その時の経費がどうなるか」と指摘。組織委の武藤敏郎事務総長も「さまざまな契約が既にあり、見直すのは簡単ではない。4週間で結論を出せるのか、やってみなければ分からない」と作業が難航する見通しを明かした。

 五輪開催の判断については世界の有力選手から批判の声が続出している。森会長は「アスリートのことを考えているからこそ我々は苦しんでいる。アスリート諸君から“考えてない”という意見が出るのはハッキリ言って遺憾だ」と不快感を表明。「アスリートなくして五輪なし。そんなことは百も承知でやっている」と“選手ファースト”を強調した。

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