エアレース王者・室屋 地元・福島での聖火リレー“アンカー”で発信したい思い

[ 2020年3月18日 06:00 ]

機体の前でサムアップポーズを見せる室屋
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 東京五輪の聖火リレーは26日にJヴィレッジからスタートし、3日間にわたって県内25市町村で聖なる火をつないでいく。福島市在住のアクロバティックパイロット・室屋義秀(47)は郡山市で福島のアンカーを務め、復興の光と影を世界に発信する。

 福島市の「ふくしまスカイパーク」を拠点に、17年にはレッドブル・エアレースの年間王者に輝いた。同年には県民栄誉賞を受賞するなど、文句なしのPRランナー選出。「光栄です。県内でも走りたい人がいる中から、その枠の一つを頂いてる。県民の思いを背負って走らせていただききます」。淡々とした口調に、意気込みを感じさせた。

 震災から9年。東京五輪は復興五輪と銘打たれ、美化されている部分もある。だが、浜通りへ“追悼飛行”する室屋は「中通りや会津地方は確実に復興している。でも、厳しい場所もあるのは事実。ありのままを伝えていくことが大事。隠すことは違う」と、復興の“光と影”を世界に見せるべきだと言う。「会場に10万人がいたとしても、メディアを通せば世界には8億人いる。外国人がテレビを見て、興味を持って福島について調べれば復興に大きく役立つ」。懸命な走りが元気な福島の復活につながると信じている。

 東京五輪に出場する選手に対し、室屋は同じ競技者として敬意を示す。「4年に1度、長い間努力して五輪に焦点を合わせてきている。少しでも力に、そして盛り上げていければと思います」。新型コロナウイルスの感染拡大で日本中に影響が出ているが、「大変だけど耐えるしかない。一喜一憂せずに頑張ってほしい」と案じた。

 県のアンカーとして、栃木県に聖火を渡す。沿道の応援が自粛となり、ゴール地点のセレモニーは無観客で行われるが、「大きな役割。県民栄誉賞を頂いた身として、どこを走っても全力を尽くすだけ」と話した。ゴールパフォーマンスは「考えていない」と笑ったが、「完走はできるので、次につなぐ気持ちを持って走ります」と真剣な目付きに戻った。空でも陸でも、室屋の福島への思いは変わらない。(近藤 大暉)

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2020年3月18日のニュース