墜落直前に急上昇 ブライアント氏搭乗のヘリと管制官との間に緊迫のやりとり 空間識失調か?

[ 2020年1月27日 16:42 ]

カリフォルニア州カラバサスに墜落したブライアント氏を乗せたヘリコプター(AP)
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 スポーツ専門局のESPNが27日、コービー・ブライアント氏搭乗のヘリの墜落事故を受けて、ヘリのパイロットと航空管制官とのやりとりを録音したフライトレコーダーの内容(航空専門サイトで公表)を明らかにした。

 それによると9人が死亡した「シコルスキー・S―76B」の操縦士は墜落直前、視界が悪いために管制官にレーダーによる誘導をリクエストしたが「レーダーでとらえるには高度が低すぎる」と言われて、左方向へ2400フィート(732メートル)ほど高度を上げていた事実が判明。その後、数分でカリフォルニア州カラバサスの傾斜地(標高426メートル)に墜落するが、落下速度は時速296キロ以上。急上昇から墜落までの動きが急激だったことが明らかになった。

 この場合、雲の中での急上昇で一時的にパイロットが上下を含めた平衡感覚を失う「空間識失調(バーティゴ(VERTIGO)」に陥った可能性も考えられるが、詳細は不明。今後は米国運輸安全委員会(NTSB)が現場にスタッフを派遣して墜落原因の究明にあたることになっており、10日以内に報告書が提出される予定になっている。

 26日のロサンゼルスは濃霧。ロサンゼルスではヘリの運航には2マイル(約3・2キロ)の視程などの条件が必要とされており、管制官は上空の航空機の通過を待って「シコルスキー・S―76B」に離陸の許可を出していた。ただしAP通信によれば他のヘリコプターは運行を見送っていたとしている。

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