佳純と組んで混合ダブルス3大会連続メダル確定 吉村真晴が流した涙のわけ

[ 2019年4月25日 06:47 ]

卓球 世界選手権個人戦第4日 ( 2019年4月24日    ハンガリー・ブダベスト )

世界卓球混合ダブルスで準決勝進出を決めた石川(左)と吉村真(撮影・吉田 剛)
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 流した涙は、背負っていたものの大きさを表していた。混合ダブルス準々決勝に勝った吉村真晴(25=名古屋やダイハツ)が取材エリアで声を詰まらせた。

 「僕は1度代表から外れているし、こういう場を与えてくれた卓球協会に感謝したい。(勝利後の喜びは)期待に応えたかったという気持ちの表れです」

 3位決定戦がないため、準決勝進出でメダルが確定した。石川佳純(26=全農)とタッグを組み、15年に準優勝し、17年は優勝した。これで3大会連続の表彰台だ。

 この日は、くせ球を操るスロバキア組に2ゲームを取られたが、石川のサーブとレシーブ、吉村の鋭いサーブで振り切った。

 「世界選手権、オリンピックに比べても1番難しい大会だった。出るからにはメダル。その責任を全うしたかった」

 大会前、吉村は葛藤していた。張本が右手薬指のけんしょう炎で石川とのコンビを辞退。代わりに声がかかった。うれしさの反面、「混合のみ」の立場は簡単に納得できるものではなかった。

 なぜなら、団体スポーツならレギュラー、それもバリバリの主力級の選手だから。経歴は華やか。高校3年で全日本選手権に優勝し、リオデジャネイロ五輪では団体銀メダルを獲得した。

 トップ選手が、代打を任された。気持ちの置き場に苦しんだ。プライドが邪魔をして純粋に台に向かえない。だが、“誰かのためにプレーしよう”と考えると心が軽くなった。

 長く目をかけてくれている男子代表の倉嶋洋介監督、協会幹部、妻、2歳の娘、今回初めて兄弟出場をした弟・和弘…。代表に選んでくれた人、競技を支えてくれる人のために全力を尽くす。戦う理由を見つけるとともに、結果で報いるしかないという決意を固めた。

 「自分1人でここに立てたわけじゃない。ラッキーが重なってここにいると、自分は常に思っておかないと」

 25日の準決勝は、伊藤・森薗組を破ったドイツのソルヤ・フランツィスカ組と当たる。頂点まであと2つ。日本人の同じペアでの連覇は、57、59年の荻村伊智朗・江口冨士枝組まで遡らなければならない。60年ぶりの快挙へ。代打じゃない。さあ主役になって日本へ帰ろう。

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