サンズがNBAルールの盲点?をつく秘策で勝利 審判も気がつかず

[ 2017年12月27日 17:04 ]

キャッチした瞬間、リングの中に手が入っているように見えたがゴール・テンディングにならなかったチャンドラー(AP)
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 NBAサンズは26日に地元フェニックス(アリゾナ州)でグリズリーズに99―97(前半57―53)で勝利を収めたが、第4Q残り0・4秒からの“決勝プレー”を巡って審判が混乱する事態となった。

 サンズはサイドライン際から2メートル16のドラガン・ベンダー(20歳)がスローイン。ジャンプシュートを放ったり、カットインで切り込む余裕がなかったために、ベンダーはリングめがけてボールを投げた。もちろんこのままリングをボールが通過しても得点にはならないが、このときゴール下にいた同じ2メートル16のタイソン・チャンドラー(35歳)が、グリズリーズのブランドン・ライト(30歳=2メートル8)との競り合いを制して空中でボールをキャッチ。そのままリングの中にねじこんだ。

 一見するとNBAではひんぱんに見られるアリウープだが、NBAルールではリング上の“円筒型空間”に手を入れてボールに触るとオフェンス側のゴールテンディングになるため、審判はチャンドラーの手がリングの中に入っているかどうかをビデオでチェックしようと記録席付近に集まってきた。実際、テレビでの映像を見る限り、チャンドラーの両手はリングの中に入っていたように見えたため、当初は微妙な判定になるかと思われた。

 しかしベンチにいたサンズのジェイ・トリアーノ監督代行(59歳)がここで3人の審判に“臨時クリニック”を開始。「ほとんどの人はまだ知らないようだ。タイムがカウントされていないボール(インプレー状態)へのゴール・テンディングは存在しないんだ。だからタイムアウトで“リングに向かってボールを投げろ”と指示した。タイソン(チャンドラー)がやることはただ一つ。ボールに触ることだけだった」とNBAルールの“盲点”と最後のプレーにいたった経緯を説明した。

 トリアーノ監督代行は10月22日にアール・ワトソン監督(38歳)が解任されたあとを引き継ぐ形でアシスタント・コーチから昇格。ラプターズでも監督代行の経験があるがカナダ代表の監督でもあり、ルールには精通していた。

 「残り0・3秒以内であっても得点できるプレーを作る必要があった。きょうは考えていた作戦を実行に移す日だったね。トロントにいた15年前(当時アシスタント・コーチ)も同じことを審判に言ったんだがなあ」と審判よりルールに詳しかった?指揮官はしてやったりの表情。ただし「秘密にしてきた戦術だけど、これだけ目立ってしまうともうそうじゃないね」と今後は“お蔵入り”する可能性をほのめかしていた。

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2017年12月27日のニュース