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心が一番。それを思い知られた九州場所

貴景勝
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 【佐藤博之のもう一丁】元横綱・日馬富士の暴行問題により、九州場所は土俵外の取材に追われた。問題が発覚した3日目の14日は、横綱、大関が戻ってくるまで、支度部屋にいる記者の数は10人に満たなかった。そんな異様な場所は「心の大切さ」を思い知らされた場所でもあった。

 重苦しい雰囲気が漂う中で、若手力士の活躍が目立った。幕内最年少21歳の貴景勝(貴乃花部屋)は日馬富士、稀勢の里、高安の2横綱1大関を破り、2度目の殊勲賞受賞となった。兄弟子の貴ノ岩は今回の暴行問題の被害者。支度部屋では兄弟子についての質問も浴びせられる中、集中力を切らさずに11勝を挙げた。鷹景勝はその日の相撲内容をほとんど覚えていないという。「(相撲が)始まったら感覚で取るタイプ。考えると脳の回転が遅くなる」。行司の軍配が返れば、これまでの稽古で培ったものしか出せない。1メートル75と上背のない力士は「気持ちが体を動かすようになれば」と「心技体」の「体」よりも「心」の重要性について語った。

 貴景勝と同じ、埼玉栄高出身の25歳、北勝富士(八角部屋)は、左右のおっつけを評価されて初の技能賞を受賞した。北勝富士は自己最高位の東前頭2枚目だった秋場所、左手首を負傷した影響で12日目に入門以来2度目の負け越しとなった。そんな矢先、埼玉栄高の山田道紀監督から電話をもらったという。そこでかけられた言葉が「誰でもケガをする。ケガをしたときこそ自分の相撲を取るしかない」だった。つらい気持ち理解してくれた恩師の言葉を聞くと、涙が止まらなくなった。北勝富士は山田監督を「心の支え」と言い切る。その恩師に、3場所連続金星、14日目までの優勝争いで恩返しした。

 日馬富士が暴行をはたらいたことは許されることではない。だが、日馬富士は弟弟子のことを思うあまり、行き過ぎた行動に至ったとも話している。親を亡くしている2人は「心」が通じ合っていたはずだった。それゆえに「心のすれ違い」が暴行につながってしまったとも言える。

 「心技体」という言葉は、「心」が一番最初にある。「技心体」でなく、「体心技」でもないのは、「心」が最も大切だからという人もいる。勝ち名乗りを受けて懸賞を受け取る際には、手刀で「心」の字を描く力士もいる。記者はいつも以上に忙しい場所になったが、「忙」という字は「心(りっしんべん)に亡くす」と書くように、余裕がないままに日々の仕事に追われていた気がする。もっと心の広い人間にならなければ。反省ばかりの今日この頃だ。(佐藤 博之)

 ◆佐藤 博之(さとう・ひろゆき)1967年、秋田県大曲市(現大仙市)生まれ。千葉大卒。相撲、格闘技、サッカー、ゴルフなどを担当。スポーツの取材・生観戦だけでなく、休日は演劇や音楽などのライブを見に行くことを楽しみにしている。

[ 2017年12月5日 09:45 ]

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