大坂16強逃すも…元女王ビーナス称賛「勝利に値した」

[ 2017年7月9日 05:30 ]

テニス ウィンブルドン選手権第5日 女子シングルス3回戦   大坂6―7、4―6V・ウィリアムズ ( 2017年7月7日    英ロンドン・オールイングランド・クラブ )

試合に敗れV・ウィリアムズ(右)と握手する大坂(AP)
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 女子シングルス3回戦で世界ランキング59位の大坂なおみ(19=日清食品)は、5度の優勝を誇る世界11位のビーナス・ウィリアムズ(37=米国)に6―7、4―6と健闘及ばずに敗れた。子供の頃から憧れてきたアイドルとの対戦。第1セットのタイブレークでは3―0とリードするなどチャンスもあったが、4大大会初の16強入りはならなかった。

 パワーヒッターの大坂とは相性がいいと言われてきた芝コート唯一の4大大会。その初挑戦は3回戦で終わった。将来ここで勝つ姿を想像できるかと聞かれた19歳は「今回もそのつもりだったんだけど」と笑みを浮かべた。その言葉は冗談半分、本気も半分だった。

 子供の頃は姉・まりさん(21)と公営コートで練習していると「未来のビーナスとセリーナかな?」とよく声を掛けられたという。「ウィリアムズ姉妹がいなければテニスをしていなかった」というほど大きな存在。しかし、コートではその気持ちを封印した。

 「普通の人だと思うようにした」と対等に向き合い、第1セットのタイブレークでは3―0とリード。しかしミスと焦りが重なり、7連続失点で一気に逆転された。メンタル面に加え、体に向かってくるサーブへの対応やネットプレーにも課題は残した。

 だが、今大会のテーマだった感情のコントロールには合格点がついた。3試合でラケットを叩いたり、金切り声を上げて取り乱す場面はなかった。この日は事前にデービッド・テーラー・コーチと決めた通り、相手の強力なサーブにも下がらず、前でリターンする姿勢も貫いた。いつか頂点に立つ日を見据えたレベルの高い取り組みだ。フェド杯日本代表の土橋登志久監督は「やると決めたことを貫く。その覚悟が凄い」と感嘆した。V・ウィリアムズからは「彼女は素晴らしい試合をしたし、勝利に値した。私がアドバイスするようなことはない」と称賛を受けた。

 「尊敬していた人と対戦できて大きな経験になった。負けて学ぶことに意味がある」と前を向いた大坂。あの負けがあったから、といつか思い出すような貴重な試合となったかもしれない。

 ≪要所で際立ったさすがの集中力>> V・ウィリアムズは要所での集中力が際立って16強入りした。1回戦後の記者会見では6月上旬に交通事故を起こして相手の車に同乗していた男性が死亡したことを問われて涙する一幕もあったが、コート上の戦いは順調そのものだ。AP通信によると、地元警察はV・ウィリアムズが事故の際に交通ルールを守って交差点に入ったと映像を基に発表した。

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