稀勢 15分の1じゃない 本場所の行方占う勝負の初日

[ 2017年7月9日 05:30 ]

稀勢の里(左)に水をつける新大関・高安
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 大相撲名古屋場所は9日、愛知県体育館で初日を迎える。左上腕などに不安を抱える横綱・稀勢の里(31=田子ノ浦部屋)は新関脇の御嶽海(24=出羽海部屋)と対戦する。3連覇が懸かった夏場所は初日に黒星を喫し、力を出し切れずに11日目から途中休場となった。万全とは言えない状況で出場を決めた和製横綱が、本場所の行方を占う一番に臨む。

 初日を翌日に控え、会場の愛知県体育館で行われた土俵祭り。休場明けとなる稀勢の里は終始、険しい表情だった。土俵の安全を祈願する儀式を終えると「(状態は)いいと思う。あとはやってみるだけ」と表情を崩すことなく言葉を発した。

 初日の相手は新関脇の御嶽海。過去の対戦成績は5戦全勝で、全て寄り切りで退けている。だが、夏場所の対戦では右前みつ、左差しで攻められ、俵に足がかかる場面もあった。春場所に痛めた左上腕などの状態は夏場所よりは良くなっているとはいえ万全ではない。場所前の稽古では痛みに顔をゆがめる場面もあった。それだけに「しっかり集中して」と気を引き締めた。

 夏場所後の横綱審議委員会では「完全に治るまで休んだ方がいい」という声もあった。出場するからにはふがいない成績は残せず、そのためにも初日は絶対に負けられない。12年初場所の大関昇進後、黒星発進は6度あり、最高成績は10勝5敗。先場所は途中休場に追い込まれた。稀勢の里にとって初日は15分の1ではなく、横綱にふさわしい結果を出せるかどうかの重要な一戦となる。

 八角理事長(元横綱・北勝海)は稀勢の里について「休まないという気持ちは立派。いつも万全ということはない。その中で勝つのが横綱の役目」と結果を求めた。さらに自身の現役時代を引き合いに「絶好調でも駄目な時はある。(調子が)どうかなと思っても、序盤に勝って優勝した時もある。やはり序盤が大事」と話した。

 初場所は初優勝で横綱昇進を決め、春場所は負傷を抱えながら劇的な逆転優勝を果たした。だが、夏場所に続いて今場所も不本意な結果となると、進退問題にも発展しかねない。稀勢の里の勝負の場所が始まる。

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