稀勢 若貴流大銀杏 一門の先輩にならい綱打ち&稽古 

[ 2017年1月27日 05:30 ]

芝田山親方(左)から雲竜型の土俵入りの指導を受ける新横綱稀勢の里
Photo By 代表撮影=共同

 二所ノ関一門の威信を懸けて、新横綱が土俵に上がる。第72代横綱となった稀勢の里(30=田子ノ浦部屋)は26日、東京都江戸川区の田子ノ浦部屋での綱打ちに引き続き、雲龍型の横綱土俵入りの稽古を行った。三つぞろえの化粧まわしは“土俵の鬼”と呼ばれた初代若乃花が着用していたもので、その甥(おい)に当たる貴乃花、3代目若乃花と同様、大銀杏(いちょう)での稽古となった。一門から誕生した先輩横綱の魂を引き継ぎ、27日、東京・明治神宮での奉納土俵入りで雄姿を披露する。

 綱打ちの際には柔和な表情を浮かべていた新横綱だが、出来上がった真新しい綱を締めると、自然と表情が変わった。「ようやく“昇進したな”という気持ちが湧いてきた。気持ちもグッと引き締まります」。横綱昇進が決定的となった初場所千秋楽から4日、ようやく稀勢の里が最高位を実感した。

 その腰に巻かれた化粧まわしは関係者が相撲博物館に手配して借用した、初代若乃花が約60年前に締めたもの。鬼が描かれており、まさに“土俵の鬼”の魂を引き継ぐ形となった。初代若乃花は優勝10回を誇り、引退後は二子山親方として、稀勢の里の先代師匠である元横綱・隆の里、2代目若乃花らを輩出。協会トップの理事長も務めた。稀勢の里は「二所ノ関一門の伝統をつくっていただいた方。光栄です」と敬意を表した。さらに、土俵の鬼の化粧まわしをつけたことで「そういう気持ちにならないといけないし、そういうメッセージかと」と、第45代横綱と同様に厳しい土俵態度で臨む覚悟を示した。

 土俵入りの稽古は大銀杏で臨んだ。部屋関係者によると、当初は直近に横綱となった鶴竜と同様に、ちょんまげで行うつもりだった。ところが、二子山親方の甥に当たる貴乃花、3代目若乃花の資料を見ると大銀杏だったため、それに倣うことに決めた。2人とも、二所ノ関一門から横綱となっており、土俵入りの稽古は稀勢の里の先代師匠から教わっている。その伝統を稀勢の里も受け継ぐ形となった。

 稽古では雲龍型だった元横綱・大乃国の芝田山親方から指導を受けた。「小さい頃から土俵入りは見ていた」というが、見るのとやるのでは違った。太刀持ちに弟弟子の高安、露払いに平幕・松鳳山を従えた練習では手順を間違えるところもあった。「まだまだ未熟な部分がある。指先まで神経を通わせることができていなかった」と反省した。愚直に相撲道に突き進む稀勢の里だけに、土俵入りにもこだわりを示した。

 綱の重さは6・4キロで、最近の横綱では鶴竜の6・2キロに次いで軽い。全体的に綱は細く映ったが、土俵上で結果を出せば、それも似合ってくる。「しっかりまた、新しい歴史を刻んでいきたい」。先人の功績を受け止めながら、自ら新しい横綱像をつくっていく。

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2017年1月27日のニュース