沙保里 母校・至学館大副学長就任!選手、代表コーチと三刀流

[ 2016年11月2日 05:30 ]

谷岡郁子学長(左)、栄和人レスリング部監督(右)とポーズをとる吉田

 わたしが至学館大学副学長・吉田沙保里である!!至学館大は1日、レスリング女子の吉田沙保里(34)が同日付で同大の副学長に就任すると発表した。学生の支援や渉外・広報などを担当し、選手活動も至学館大学職員として行う。これまでは同大を練習拠点とする有名なOGでしかなかったが、名実ともに大学の顔となった。すでに全日本女子のコーチにも就任しており、選手を含めた“三刀流”で、態度を保留している20年東京五輪に向けた準備を進めることになる。

 11月1日の11時1分。頂点に君臨してきた吉田らしい1並びのタイミングで辞令が交付された。役職は学長に次ぐ重要ポスト。当初は「私で大丈夫かな?」と思ったという吉田だが、会見では「至学館の学生は元気で明るく楽しい。そこを生かしながら、わたしも協力していければ」と大役を任された抱負を語った。

 ただし、これに少しだけ困り顔の人物が1人いた。吉田の恩師である同大レスリング部監督で教授でもある栄和人氏だ。同席した会見では「教え子がわたしを超えて副学長になるということに凄く複雑な思いもある」と言って笑わせた。これまでは「沙保里」と呼んできたが、学内での立場は一応逆転。吉田さんか、沙保里さんか。「なんて呼べばいいのか」と頭を抱えた。

 大学卒業後にALSOKに就職した吉田は、昨年からフリーで活動してきた。4連覇を狙ったリオ五輪で一区切りをつけ、「ここまで成長させてもらった場所」という母校に戻ることを決めた。すでに教授から2人が副学長となっており、吉田は3人目。気になる報酬は明かされなかったが、谷岡学長は「学生の生ける手本として、ロールモデルになること」を期待した。

 新しい副学長には立派な名刺だけでなく、常勤ではないが副学長室も用意された。アスリートで副学長と言えば同じ国民栄誉賞受賞者で、柔道の山下泰裕氏が東海大の副学長を務めている。とはいえ、それも引退後の2011年からのこと。吉田はまだ現役の34歳で異例の任命だ。

 副学長としての具体的な活動予定はまだないが、至学館高は来春のセンバツ出場を確実にしており、甲子園のアルプススタンドに“最強副学長”の登場も考えられそうだ。今月末の全日本の3スタイル合同合宿では、コーチとしてもデビューを果たす予定。選手との三刀流もさまざまなことをモチベーションに変えられる吉田にはプラスに働くに違いない。

続きを表示

この記事のフォト

2016年11月2日のニュース